第109回薬剤師国家試験

◆ 問153

痛みを伴う疾患に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • タペンタドールは、下行性疼痛抑制系の神経終末でのセロトニン再取り込みを選択的に阻害して、痛覚情報伝達を抑制する。
  • プレガバリンは、求心性一次知覚神経の電位依存性Ca2+チャネルを構成する。α1サブユニットに結合して、神経伝達物質の遊離を抑制する。
  • レバロルファンは、オピオイドμ受容体を刺激して、モルヒネの鎮痛効果を増強する。
  • エレヌマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に結合してCGRPの作用を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制する。
  • チザニジンは、アドレナリンα2受容体を刺激して、筋緊張を伴う疼痛を緩和する。

◆ 問153

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


正解は[エレヌマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に結合してCGRPの作用を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制する。]と[チザニジンは、アドレナリンα2受容体を刺激して、筋緊張を伴う疼痛を緩和する。]です。

正解の選択肢について解説します。
[エレヌマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に結合してCGRPの作用を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制する。]
CGRPは片頭痛の病態生理に関与しており、エレヌマブはこれを標的とすることで予防効果を発揮します。

[チザニジンは、アドレナリンα2受容体を刺激して、筋緊張を伴う疼痛を緩和する。]
チザニジンは、中枢神経系に存在するアドレナリンα2受容体を刺激することで筋肉の緊張を緩和し、疼痛を軽減します。これは筋肉の過度の緊張や痙攣を和らげる効果があり、筋緊張を伴う疾患の治療に用いられます。

誤った選択肢についての解説します。
[タペンタドールは、下行性疼痛抑制系の神経終末でのセロトニン再取り込みを選択的に阻害して、痛覚情報伝達を抑制する。]
タペンタドールは、セロトニン再取り込みを阻害すると同時に、μオピオイド受容体にも作用する複合型鎮痛薬です。したがって、セロトニン再取り込みを選択的に阻害するという記述は不正確です。

[プレガバリンは、求心性一次知覚神経の電位依存性Ca2+チャネルを構成する。α1サブユニットに結合して、神経伝達物質の遊離を抑制する。]
プレガバリンは、α2δサブユニットに結合し、カルシウムチャネルの機能を調節することで神経伝達物質の遊離を抑制しますが、α1サブユニットには結合しません。

[レバロルファンは、オピオイドμ受容体を刺激して、モルヒネの鎮痛効果を増強する。]
レバロルファンは、オピオイド受容体に結合して鎮痛作用を示す薬剤ですが、モルヒネの鎮痛効果を増強するという記述は見つかりませんでした。通常、オピオイド受容体を刺激する薬剤は自体が鎮痛効果を持ちます。

覚えておくべき用語:
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド):片頭痛の病態生理に関与するペプチド。
α2δサブユニット:プレガバリンが作用するカルシウムチャネルの部分。
μオピオイド受容体:オピオイド薬が作用する受容体で、鎮痛効果に関与します。