第109回薬剤師国家試験

◆ 問156

花粉症の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • レボセチリジンは、知覚神経のヒスタミンH1受容体を遮断し、くしゃみを抑制する。
  • クロモグリク酸は、ロイコトリエンCysLT1受容体を遮断し、眼のかゆみを軽減する。
  • ラマトロバンは、プロスタノイドTP受容体及びプロスタノイドDP2受容体(CRTH2受容体)を遮断し、鼻粘膜の炎症を軽減する。
  • ナファゾリンは、鼻粘膜のアドレナリンα1受容体を遮断することで血管平滑筋を弛緩させ、鼻閉を軽減する。
  • トラニラストは、ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害することで炎症細胞の活性化を抑制し、結膜の充血を軽減する。

◆ 問156

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


正解は[レボセチリジンは、知覚神経のヒスタミンH1受容体を遮断し、くしゃみを抑制する。]と[ラマトロバンは、プロスタノイドTP受容体及びプロスタノイドDP2受容体(CRTH2受容体)を遮断し、鼻粘膜の炎症を軽減する。]です。

[レボセチリジンは、知覚神経のヒスタミンH1受容体を遮断し、くしゃみを抑制する。]
正解です。レボセチリジンはセチリジンのR-エナンチオマーであり、ヒスタミンH1受容体に対する親和性が高く、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの作用を阻害します。

[クロモグリク酸は、ロイコトリエンCysLT1受容体を遮断し、眼のかゆみを軽減する。]
誤りです。クロモグリク酸は、実際にはマスト細胞安定剤として作用し、マスト細胞からのヒスタミン放出を防ぎます。ロイコトリエンCysLT1受容体を遮断するのは、別の薬剤であるロイコトリエン受容体拮抗薬です。

[ラマトロバンは、プロスタノイドTP受容体及びプロスタノイドDP2受容体(CRTH2受容体)を遮断し、鼻粘膜の炎症を軽減する。]
正解です。ラマトロバンはアレルギー性鼻炎の治療に用いられ、これらの受容体の遮断により炎症反応を抑制します。

[ナファゾリンは、鼻粘膜のアドレナリンα1受容体を遮断することで血管平滑筋を弛緩させ、鼻閉を軽減する。]
誤りです。ナファゾリンは、アドレナリンα1受容体作動薬であり、受容体を遮断するのではなく、活性化させて血管を収縮させ、鼻閉を軽減します。

[トラニラストは、ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害することで炎症細胞の活性化を抑制し、結膜の充血を軽減する。]
誤りです。トラニラストは、ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害する薬剤ではなく、アレルギー反応に関与する他のメカニズムを持つ薬剤です。JAK阻害薬は、炎症性サイトカインのシグナル伝達を阻害することで炎症を抑制します。

覚えておくべき用語:
ヒスタミンH1受容体: アレルギー反応に関与する受容体で、抗ヒスタミン薬によって遮断されます。
マスト細胞: アレルギー反応においてヒスタミンを放出する細胞で、マスト細胞安定剤によってその活動が抑制されます。
プロスタノイド受容体: 炎症反応に関与する受容体で、特定の薬剤によって遮断されることで炎症が抑制されます。
アドレナリンα1受容体: 血管の収縮に関与する受容体で、作動薬によって活性化されます。
ヤヌスキナーゼ(JAK): サイトカインのシグナル伝達に関与する酵素で、JAK阻害薬によってその活動が抑制されます。これにより炎症反応が抑制されます。