第109回薬剤師国家試験

◆ 問159

心不全の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • ジゴキシンは、Na+,K+-ATPaseを活性化し、心筋細胞内Ca2+濃度を上昇させて、強心作用を示す。
  • ピモベンダンは、サイクリックAMP(cAMP)誘導体で、細胞内でcAMPに変換されて、強心作用を示す。
  • ビソプロロールは、アドレナリンB1受容体を遮断し、心臓のリモデリングを抑制する。
  • カルペリチドは、生体内で活性体となり、ナトリウム利尿ペプチドの分解を阻害して、血管拡張作用と利尿作用を示す。
  • イバブラジンは、過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル(HCNチャネル)を遮断して、心拍数を減少させる。

◆ 問159

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


正解は[ビソプロロールは、アドレナリンB1受容体を遮断し、心臓のリモデリングを抑制する。]と[イバブラジンは、過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル(HCNチャネル)を遮断して、心拍数を減少させる。]です。

正解の選択肢について解説します。
[ビソプロロールは、アドレナリンB1受容体を遮断し、心臓のリモデリングを抑制する。]
ビソプロロールは、β1アドレナリン受容体を遮断することで心臓のリモデリングを抑制し、心不全の治療に用いられます。β遮断薬は、心臓の負担を減らし、心不全の進行を遅らせる効果があります。

[イバブラジンは、過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル(HCNチャネル)を遮断して、心拍数を減少させる。]
イバブラジンは、HCNチャネルを遮断することで心拍数を減少させ、心臓への負担を軽減します。これにより、心不全の症状の改善に寄与するとされています。

間違いの選択肢について解説します。
[ジゴキシンは、Na+,K+-ATPaseを活性化し、心筋細胞内Ca2+濃度を上昇させて、強心作用を示す。]
ジゴキシンは、Na+,K+-ATPaseを阻害することで心筋細胞内のCa2+濃度を上昇させ、強心作用を示します。活性化ではなく阻害することが重要です。

[ピモベンダンは、サイクリックAMP(cAMP)誘導体で、細胞内でcAMPに変換されて、強心作用を示す。]
ピモベンダンは、cAMP誘導体ではなく、カルシウム感受性を高めることで心筋の収縮力を増加させる薬剤です。

[カルペリチドは、生体内で活性体となり、ナトリウム利尿ペプチドの分解を阻害して、血管拡張作用と利尿作用を示す。]
カルペリチドは、ナトリウム利尿ペプチドの分解を阻害するのではなく、同様の作用を持つ合成ペプチドであり、血管拡張作用と利尿作用を示します。

覚えておくべき用語は以下の通りです。
β遮断薬(β-blocker): 心臓のβ1アドレナリン受容体を遮断し、心拍数を減少させることで心臓の負担を軽減します。
HCNチャネル: 過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネルで、心臓のペースメーカー電流を形成し、心拍数を調節します。
強心薬(Cardiotonic agent): 心筋の収縮力を高めることで心臓のポンプ機能を強化する薬剤です。