第109回薬剤師国家試験

◆ 問161

造血系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • エルトロンボパグは、赤芽球系前駆細胞のエリスロポエチン受容体を刺激することで、赤血球の産生を促進する。
  • メコバラミンは、赤芽球内のヘム合成酵素の補酵素として作用することで、ヘムの合成を促進する。
  • ダプロデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素を阻害することで、HIFの分解を抑制してエリスロポエチンの産生を促進する。
  • フィルグラスチムは、単球系前駆細胞から単球への分化を促進することで、単球からの顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の放出を増加させる。
  • 葉酸は、体内でテトラヒドロ葉酸に代謝されて、DNA合成の補酵素として作用し、赤血球の成熟を促進する。

◆ 問161

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


正解は[ダプロデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素を阻害することで、HIFの分解を抑制してエリスロポエチンの産生を促進する。]と[葉酸は、体内でテトラヒドロ葉酸に代謝されて、DNA合成の補酵素として作用し、赤血球の成熟を促進する。]です。

それぞれの選択肢について解説します。
[エルトロンボパグは、赤芽球系前駆細胞のエリスロポエチン受容体を刺激することで、赤血球の産生を促進する。]
誤りです。エルトロンボパグは、エリスロポエチン受容体を刺激せず、血小板の産生を促進する薬剤です。

[メコバラミンは、赤芽球内のヘム合成酵素の補酵素として作用することで、ヘムの合成を促進する。]
誤りです。メコバラミンは、ヘム合成酵素の補酵素ではなく、ビタミンB12の一形態であり、神経系の維持やDNAの合成に関与します。

[ダプロデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素を阻害することで、HIFの分解を抑制してエリスロポエチンの産生を促進する。]
正解です。ダプロデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素を阻害することでHIFの分解を抑制し、エリスロポエチンの産生を促進します。これにより、赤血球の産生が増加します。

[フィルグラスチムは、単球系前駆細胞から単球への分化を促進することで、単球からの顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の放出を増加させる。]
誤りです。フィルグラスチムは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)として作用し、好中球の分化と増殖を促進しますが、単球からのG-CSFの放出を増加させるわけではありません。

[葉酸は、体内でテトラヒドロ葉酸に代謝されて、DNA合成の補酵素として作用し、赤血球の成熟を促進する。]
正解です。葉酸は体内でテトラヒドロ葉酸に代謝され、DNA合成の補酵素として機能します。これにより、赤血球の成熟が促進されます。

覚えておくべき用語:
低酸素誘導因子(HIF): 細胞の酸素濃度が低い状態を検知し、適応的な反応を引き起こすタンパク質。
エリスロポエチン: 腎臓で産生されるホルモンで、骨髄に作用して赤血球の産生を促進します。
テトラヒドロ葉酸: DNA合成に必要な補酵素で、葉酸が体内で変換された形態です。