第109回薬剤師国家試験

◆ 問162

胃・十二指腸潰瘍の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • スクラルファートは、胃潰瘍部位に結合することで、ペプシンによる自己消化から粘膜組織を保護する。
  • ラニチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を遮断することで、プロトンポンプの活性化を抑制する。
  • ランソプラゾールは、K+に競合してプロトンポンプを阻害することで、胃酸分泌を抑制する。
  • ミソプロストールは、プロスタグランジン合成酵素を活性化することで、胃粘膜のプロスタグランジンを増加させる。
  • オキセサゼインは、ガストリン受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制する。

◆ 問162

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


正解は[スクラルファートは、胃潰瘍部位に結合することで、ペプシンによる自己消化から粘膜組織を保護する。]と[ラニチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を遮断することで、プロトンポンプの活性化を抑制する。]です。

それぞれの選択肢について解説します。
[スクラルファートは、胃潰瘍部位に結合することで、ペプシンによる自己消化から粘膜組織を保護する。]
正解です。スクラルファートは胃酸によるさらなる損傷から粘膜を守る効果があります。

[ラニチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を遮断することで、プロトンポンプの活性化を抑制する。]
正解です。ラニチジンは、胃壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制します。


[ランソプラゾールは、K+に競合してプロトンポンプを阻害することで、胃酸分泌を抑制する。]
誤りです。ランソプラゾールは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)であり、プロトンポンプを直接阻害して胃酸分泌を抑制するため、誤りです。K+と競合するのはボノプラザンのようなカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)です。

[ミソプロストールは、プロスタグランジン合成酵素を活性化することで、胃粘膜のプロスタグランジンを増加させる。]
誤りです。ミソプロストールは、プロスタグランジンE1の誘導体であり、プロスタグランジンの受容体を刺激して胃粘膜の保護を促進しますが、プロスタグランジン合成酵素を直接活性化するわけではありません。

[オキセサゼインは、ガストリン受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制する。]
誤りです。オキセサゼインは、ガストリン受容体を遮断するのではなく、局所麻酔薬として作用します。この薬は微絨毛を麻痺させ、ガストリンの遊離を抑制して間接的に胃酸の分泌を抑制します。ガストリン受容体を遮断するわけではありません。

覚えておくべき用語:
プロトンポンプ阻害薬(PPI): 胃酸分泌の最終段階であるプロトンポンプを阻害し、胃酸分泌を抑制する薬剤。
ヒスタミンH2受容体拮抗薬: 胃壁細胞のH2受容体に作用し、胃酸分泌を抑制する薬剤。
ペプシン: タンパク質を分解する酵素で、胃酸によって活性化される。
プロスタグランジン: 粘膜保護や血管拡張など多くの生理的作用を持つ生体内脂質。
ガストリン: 胃の壁細胞に胃酸分泌を引き起こさせるためのシグナル