第109回薬剤師国家試験

◆ 問163

肝疾患、膵疾患及び胆道疾患の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • フロプロピオンは、カテコール--メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害してノルアドレナリンの代謝を抑制することで、Oddi括約筋を弛緩させる。
  • ウルソデオキシコール酸は、胆汁酸の増加を伴わずに胆石表面のコレステロールをミセル化することで、コレステロール胆石を溶解する。
  • カモスタットは、膵外分泌を促進して膵機能を活性化することで、慢性膵炎を改善する。
  • テノホビルは、NS5A複製複合体を阻害することで、B型肝炎ウイルス(HBV)の複製を抑制する。
  • ソホスブビルは、NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することで、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製を抑制する。

◆ 問163

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


正解は
[フロプロピオンは、カテコール--メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害してノルアドレナリンの代謝を抑制することで、Oddi括約筋を弛緩させる。]
[ソホスブビルは、NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することで、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製を抑制する。]
です。

それぞれの選択肢について解説します。
[フロプロピオンは、カテコール--メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害してノルアドレナリンの代謝を抑制することで、Oddi括約筋を弛緩させる。]
正解です。フロプロピオンは、カテコール--メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害することでノルアドレナリンの代謝を抑制し、Oddi括約筋の弛緩を促します。胆道疾患治療においてOddi括約筋の緊張を和らげることは有効な治療です。

[ウルソデオキシコール酸は、胆汁酸の増加を伴わずに胆石表面のコレステロールをミセル化することで、コレステロール胆石を溶解する。]
誤りです。ウルソデオキシコール酸は、胆汁酸の一種であり、胆汁酸の増加を伴うことでコレステロールのミセル化を促進し、コレステロール胆石を溶解するものです。増加を伴わない記述は誤りです。

[カモスタットは、膵外分泌を促進して膵機能を活性化することで、慢性膵炎を改善する。]
誤りです。カモスタットは、膵外分泌を抑制することで膵臓の負担を減らし、慢性膵炎の症状を改善する薬物です。膵外分泌を促進するのではなく、抑制するため、記述は誤りです。

[テノホビルは、NS5A複製複合体を阻害することで、B型肝炎ウイルス(HBV)の複製を抑制する。]
誤りです。テノホビルは、実際にはB型肝炎ウイルス(HBV)の治療に使用される薬物ですが、その作用機序はNS5A複製複合体を阻害するのではなく、逆転写酵素を阻害することでHBVのDNAの合成を阻害するため、記述は誤りです。

[ソホスブビルは、NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することで、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製を抑制する。]
正解です。ソホスブビルは、NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することで、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製を抑制します。これはHCV治療薬として広く使用されています。