第109回薬剤師国家試験

◆ 問169

抗悪性腫瘍薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • シタラビンは、標的細胞で三リン酸化体となり、DNAポリメラーゼを阻害して、DNA合成を低下させる。
  • テガフールは、活性代謝産物が活性酸素を発生させて、DNAを酸化的に傷害する。
  • フルダラビンは、トポイソメラーゼIを阻害して、がん細胞のG2期への移行を抑制する。
  • ドキソルビシンは、DNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼを阻害して、DNA及びRNAの合成を低下させる。
  • アファチニブは、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)チロシンキナーゼを阻害して、血管新生を抑制する。

◆ 問169

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


正解は
[シタラビンは、標的細胞で三リン酸化体となり、DNAポリメラーゼを阻害して、DNA合成を低下させる。]
[ドキソルビシンは、DNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼを阻害して、DNA及びRNAの合成を低下させる。]
です。

それぞれの選択肢について解説します。
[シタラビンは、標的細胞で三リン酸化体となり、DNAポリメラーゼを阻害して、DNA合成を低下させる。]
正解です。これは、シタラビンが代謝物であるシタラビン三リン酸ヌクレオチド(Ara-CTP)に変換され、DNA合成の材料であるデオキシシチジン三リン酸(dCTP)とデオキシチミジン三リン酸(dTTP)と競合してDNAポリメラーゼを阻害するためです。

[テガフールは、活性代謝産物が活性酸素を発生させて、DNAを酸化的に傷害する。]
誤りです。テガフールは代謝によりフルオロウラシルに変換され、これがDNA生合成を阻害します。また、フルオロウラシルの代謝物もRNA機能を阻害します。

[フルダラビンは、トポイソメラーゼIを阻害して、がん細胞のG2期への移行を抑制する。]
誤りです。フルダラビンはプリンアナログであり、リボヌクレオシド二リン酸レダクターゼおよびDNAポリメラーゼを阻害してDNA伸長を妨げる作用があります。

[ドキソルビシンは、DNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼを阻害して、DNA及びRNAの合成を低下させる。]
正解です。ドキソルビシンはDNAの塩基対間に挿入し、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、トポイソメラーゼII反応を阻害し、DNA、RNA双方の生合成を抑制することによって抗腫瘍効果を示します。

[アファチニブは、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)チロシンキナーゼを阻害して、血管新生を抑制する。]
誤りです。アファチニブはEGFRおよびerbB-2 (HER2) を非可逆的に阻害し、これによりがん細胞の成長を抑制します。