第109回薬剤師国家試験

◆ 問176

TDMの実施が望ましい薬物の性質として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 有効血中濃度の範囲が広い。
  • 体内動態の個人差が小さい。
  • 薬物相互作用を受ける可能性が低い。
  • 体内動態に非線形性が認められる。
  • 副作用と対象疾患の症状の区別が難しい。

◆ 問176

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


TDM(Therapeutic Drug Monitoring、治療薬物モニタリング)は、特定の薬物の血中濃度を測定し、適切な治療効果を得るために行われます。
TDMが望ましい薬物の性質として正しいのは、
[体内動態に非線形性が認められる。]
[副作用と対象疾患の症状の区別が難しい。]
上記の2つです。

非線形性がある薬物は、投与量と血中濃度が比例しないため、少量の増減で血中濃度が予測不能に変動し、容易に有毒域に達する可能性があります。このため、TDMを通じて患者ごとの適切な血中濃度を把握し、安全かつ効果的な投与量を決定することが重要です。また、副作用と疾患の症状が似ている場合、副作用によるものか疾患の進行によるものかの区別が困難になります。


逆に、
[有効血中濃度の範囲が広い。]
[体内動態の個人差が小さい。]
[薬物相互作用を受ける可能性が低い。]
上記の性質を持つ薬物は、TDMの必要性が低いと考えられます。これらの性質を持つ薬物は、一般的に投与量の調整が容易であり、血中濃度の測定による監視の必要性が低いためです。

よって正解は
[体内動態に非線形性が認められる。]
[副作用と対象疾患の症状の区別が難しい。]
上記の2つです。