第109回薬剤師国家試験

◆問177-178

抗悪性腫瘍薬であるイリノテカンはプロドラッグである。この薬物の製剤と代謝に関する以下の間に答えよ。

◆ 問177

イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、本製剤は以下の添加物を含む。
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  • イリノテカンをポリエチレングリコール誘導体で可溶化した製剤である。
  • ポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤である。
  • 能動的ターゲティングにより腫瘍に集積する。
  • 細網内皮系を回避することにより血中に滞留する。
  • 製剤中に含まれる微粒子は150μm程度である。

◆ 問178


◆ 問177

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、4


イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注に関する記述で正しいものは、以下の2つです。
[ポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤である。]
[細網内皮系を回避することにより血中に滞留する。]
オニバイドはポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤であり、イリノテカン塩酸塩水和物のリポソーム製剤です。オニバイド点滴静注は循環血中に長時間滞留するリポソームベースのナノ粒子にイリノテカンを封入することで、細網内皮系を回避し、血中に滞留します。

他の選択肢が間違っている理由は以下の通りです。
[イリノテカンをポリエチレングリコール誘導体で可溶化した製剤である。]
誤りです。オニバイドはリポソーム製剤であり、イリノテカン塩酸塩水和物をリポソームに封入しています。

[能動的ターゲティングにより腫瘍に集積する。]
誤りです。オニバイドはリポソームベースのナノ粒子であり、これにより血中に滞留し、細網内皮系を回避するため、能動的ターゲティングではなく受動的ターゲティングが正しいです。

[製剤中に含まれる微粒子は150μm程度である。]
誤りです。リポソーム製剤は通常、ナノスケールのサイズを持っており、150μmというサイズはリポソームには大きすぎます。

◆ 問178

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


正解は[選択肢3]です。

イリノテカンはプロドラッグであり、体内でカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物であるSN−38(A)に変換され抗腫瘍作用を示します。その後、UDP−グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)により不活性代謝物であるSN−38G(B)に変換され排泄されます。
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