第109回薬剤師国家試験

◆ 問189

間質性肺炎に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 閉塞性換気障害のために肺活量が減少する。
  • 原因として最も頻度が高いのは、副腎皮質ステロイド性薬の副作用である。
  • 乾性咳嗽が出現する。
  • 胸部聴診で呼息時にブツブツという粗い断続性ラ音が聴取される。
  • 特発性肺線維症に対しては、ニンテダニプエタンスルホン酸塩を投与することがある。

◆ 問189

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


正解の選択肢は以下の通りです。
[乾性咳嗽が出現する。]
間質性肺炎の患者は通常、乾性咳嗽を経験します。これは肺の間質に炎症が生じることにより、肺胞が十分に膨らまず、痰を伴わない咳が特徴的です。

[特発性肺線維症に対しては、ニンテダニプエタンスルホン酸塩を投与することがある。]
特発性肺線維症は間質性肺炎の一形態であり、ニンテダニプエタンスルホン酸塩はこの状態の治療に用いられる薬剤の一つです。この薬は線維化の進行を遅らせることが示されています。


誤りの選択肢は以下の通りです。
[閉塞性換気障害のために肺活量が減少する。]
間質性肺炎は拘束性換気障害を引き起こし、肺活量が減少しますが、閉塞性換気障害ではありません。閉塞性障害は気道の狭窄によって起こります。

[原因として最も頻度が高いのは、副腎皮質ステロイド性薬の副作用である。]
副腎皮質ステロイドの副作用が間質性肺炎の最も一般的な原因ではありません。間質性肺炎の原因は多岐にわたりますが、原因不明(特発性間質性肺炎)が最も多いとされています。原因が特定できるものとしては、膠原病、粉塵(アスベスト・羽毛・カビなど)、薬剤性(漢方薬・風邪薬・抗がん剤)、喫煙などが挙げられますが、間質性肺炎全体の約6割は原因が明らかでないとされています。

[胸部聴診で呼息時にブツブツという粗い断続性ラ音が聴取される。]
間質性肺炎では、通常、細かい終末ラ音が聴取されますが、粗い断続性ラ音は典型的ではありません。


覚えておくべき用語:
乾性咳嗽:痰を伴わない咳。
拘束性換気障害:肺の膨張が制限される状態。
ニンテダニプエタンスルホン酸塩:特発性肺線維症の治療薬。
細かい終末ラ音:間質性肺炎で聴取される典型的な音。