第109回薬剤師国家試験

◆問202-203

 52歳男性。身長168cm、体重81kg。3年前に2型糖尿病と診断され、食事療法と運動療法に加え、内服薬での治療を行ってきた。しかし、仕事の都合で食事が不規則になり、低血糖症状を経験したため、内服薬を自己判断で中止していた。今回、血糖コントロール不良のため、インスリン導入目的で入院となり、以下が処方された。また、この患者は、定期的に血糖自己測定を行う予定である。
109回問202-203画像1

◆ 問202


◆ 問203

 血糖値の簡易測定の一つにグルコース酸化酵素を用いる方法がある。この方法では、酵素反応により生じた過酸化水素が電極で酸化されて電流が発生するので、この電流を測定する。その反応は以下のとおりである。
109回問202-203画像2
 患者の血糖値が90.0mg/dLであったとき、測定した血液1μL中で生じた電気量に最も近い値はどれか。1つ選べ。

 ただし、グルコースの分子量を180、電子1molの電気量を9.65×104クーロンとする。また、血糖値はグルコース濃度を表し、反応により生成する電子はグルコース由来とする。
  • 4.83×10-4クーロン
  • 9.65×10-4クーロン
  • 1.93×10-3クーロン
  • 4.83×10-3クーロン
  • 9.65×10-3クーロン

◆ 問202

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


正解の選択肢の解説は以下の通りです。
[原則、毎日同じ時刻に注射する。]
インスリンは体内の血糖値を一定に保つために使用されます。毎日同じ時刻に注射することで、血糖値の変動を最小限に抑え、安定したコントロールが可能になります。これは、特に長時間作用型のインスリンにおいて重要です。

[注射後は、針ケースを注射針にまっすぐ取りつけ、針ケースを回して注射針を引っ張って取り外す。]
この方法は、使用後の針を安全に処理するためのものです。直接手で触れずに針を取り外すことができるため、針刺し事故を防ぐことができます。


間違っている選択肢の解説は以下の通りです。
[カートリッジにひびが入った場合は、漏れがないことを確認してから使用する。]
ひびが入ったカートリッジは、漏れがなくても品質が保証されないため、使用すべきではありません。

[液に濁りが生じたときは、カートリッジを振って均一な懸濁液にして使用する。]
インスリンの種類によっては振ることで効果が変わるものもあります。懸濁液タイプのインスリンでは、振るのではなく、転がして混ぜるのが一般的です。

[注射は皮膚面に対して45度に傾けて打つ。]
インスリン注射の角度は、皮下脂肪の厚さによって異なります。一般的には90度で打つことが多いですが、脂肪層が薄い場合には45度で打つこともあります。

◆ 問203

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


血糖値が90.0 mg/dLであるため、1μLの血液中のグルコース量は次のように計算できます。
109回問202-203画像1

グルコースの分子量が180 g/molであるので、1μLの血液中のグルコースのモル数は次のようになります。
109回問202-203画像2

電子1 molあたりの電気量が9.65×104 Cであるため、グルコース1 molが完全に反応して2 molの電子を生成した場合の電気量は次のようになります。
109回問202-203画像3

したがって、血液1μL中で生じた電気量に最も近い値は[9.65×10-4クーロン]です。
この計算では、グルコース1molから2molの電子が生じることを考慮しています。これは、グルコースが酸化される際に2つの電子を失うためです。