第109回薬剤師国家試験

◆問208-209

 55歳女性(閉経後)。身長160cm、体重52kg。血圧135/70mmHg。高血圧症にて、処方1の薬剤を服用している。
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 今回、1ヶ月前よりほてりや発汗、不眠症状等があり、更年期障害を疑い婦人科クリニックを受診した。その後、以下の追加処方箋を持参して、かかりつけ薬局を訪れた。
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◆ 問208

処方2の薬剤の服用開始にあたり、患者への説明内容として適切でないのはどれか。1つ選べ。
  • 下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、連絡すること。
  • 血圧が低下する場合があること。
  • 手術前には休薬を検討する必要があること。
  • 投与開始後は、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があること。
  • 骨折のリスクが上がること。

◆ 問209


◆ 問208

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


正解は[骨折のリスクが上がること。]です。
これは不適切な説明内容であり、実際には結合型エストロゲンは骨折のリスクを低下させる可能性があるためです。結合型エストロゲンは、閉経後の女性における骨粗鬆症治療薬として使用され、骨密度を増加させることで骨折リスクを減少させる効果があります。


他の選択肢については以下の通りです。
[下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、連絡すること。]
誤りです。下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、血栓のリスクがあるため、連絡することが重要です。

[血圧が低下する場合があること。]
誤りです。血圧が低下する可能性は低いですが、高血圧治療薬との相互作用により影響が出る場合があるため、注意が必要です。

[手術前には休薬を検討する必要があること。]
誤りです。手術前には、出血リスクを考慮して休薬を検討する必要があります。

[投与開始後は、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があること。]
誤りです。投与開始後は、ホルモン療法による乳がんのリスクを評価するため、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があります。

覚えておくべき用語としては、「結合型エストロゲン」が重要です。これは、閉経後のホルモン補充療法に用いられる薬剤で、骨密度の維持や増加に寄与し、骨粗鬆症の治療に効果的です。また、「骨粗鬆症」とは、骨の密度と質が低下し、骨折しやすくなる状態を指します。この病態に対して結合型エストロゲンは治療薬として利用されます。

◆ 問209

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


写真はそれぞれ、
1.甘草(カンゾウ)
2.山梔子(サンシシ)
3.生姜(ショウキョウ)
4.芍薬(シャクヤク)
5.柴胡(サイコ)
です。

加味逍遙散を長期服用する場合に注意すべき副作用として腸間膜静脈硬化症が報告されています。この症状は、腸間膜静脈の硬化や石灰化による血流障害が原因で、腹痛や下痢、嘔気・嘔吐などの症状が繰り返し見られることがあります。重症化すると腸閉塞を引き起こす可能性もあります。
腸間膜静脈硬化症の発症要因として、加味逍遙散に含まれる生薬の一つである山梔子(サンシシ)が挙げられています。
山梔子中の成分ゲニポシドが腸内細菌によりゲニピンに変化し、これが腸間膜静脈壁に作用することで症状が発現します。

よって正解は[2:サンシシ]です。