第109回薬剤師国家試験

◆問218-219

76歳女性。夫と息子との3人暮らし。高血圧症、てんかん、統合失調症及び不眠症の治療を行っている。処方1~3は、以下の時系列記録の1年前から継続している。
109回問218-219画像1


7月4日(かかりつけ医受診後来局):
処方1~3継続、eGFR56mL/min/1.73m2

8月1日(かかりつけ医受診後来局):
処方1~3継続、eGFR32mL/min/1.73m2
家族「腎臓の精密検査のために、かかりつけの先生が、大学病院の腎臓内科の外来受診を予約してくれました。8月8日に本人を連れていきます。」

8月4日(家族から薬局へ電話相談、及び薬剤師から医師への確認):
家族「前回受診時にかかりつけの先生に伝え忘れましたが、よだれが出るようになったり、顔の表情が無くなったり、歩行が遅くなったりすることが7月中旬ぐらいから目立ってきました。」
かかりつけ医師「随意運動は問題ありませんでした。薬の副作用ですね。」

◆ 問218


◆ 問219

この副作用と同じ症状が現れる可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。
  • 大脳皮質運動野の障害
  • 大脳辺縁系の障害
  • 大脳基底核の障害
  • 視床下部の障害
  • 皮質脊髄路の障害

◆ 問218

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


正解の選択肢は[リスペリドン]です。
[リスペリドン]は抗精神病薬であり、統合失調症や双極性障害の治療に使用されます。副作用として、錐体外路症状があり、これには顔の表情が減少する(無表情)、よだれが増加する、歩行が遅くなるなどが含まれます。これらの症状は患者さんが経験している症状と一致しています。


誤りの選択肢とその理由:
[アジルサルタン] - 誤りです。[アジルサルタン]は高血圧治療に用いられるARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)です。この薬剤の主な副作用には、めまいや低血圧などがありますが、錐体外路症状は一般的ではありません。

[バルプロ酸ナトリウム] - 誤りです。[バルプロ酸ナトリウム]は抗てんかん薬であり、気分安定薬としても使用されます。主な副作用には、消化器系の問題や肝機能障害がありますが、錐体外路症状は一般的な副作用ではありません。

[ラメルテオン] - 誤りです。[ラメルテオン]は不眠症治療薬で、メラトニン受容体作動薬です。主な副作用には、眠気やめまいがありますが、錐体外路症状は報告されていません。

[レンボレキサント] - 誤りです。[レンボレキサント]も不眠症治療薬で、オレキシン受容体拮抗薬です。この薬剤の副作用には、眠気や頭痛がありますが、錐体外路症状は一般的な副作用ではありません。

◆ 問219

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


この症状が現れる可能性が最も高いのは、[大脳基底核の障害]です。
正解です。大脳基底核は運動制御に関与しており、ここに障害があると、パーキンソン病に見られるような症状が現れることがあります。これには、顔の表情の減少(無表情)、よだれの増加、歩行速度の低下などが含まれます。これらの症状は、患者さんが経験している副作用と一致しています。


他の選択肢についての症状は以下の通りです。
[大脳皮質運動野の障害] - 誤りです。これは主に運動の精度や協調を損なう可能性がありますが、上記の症状を直接引き起こすものではありません。

[大脳辺縁系の障害] - 誤りです。感情や行動に影響を及ぼす可能性がありますが、運動機能の障害とは直接関連していません。

[視床下部の障害] - 誤りです。視床下部は体温調節や食欲などの自律機能を制御していますが、運動機能には直接関与していません。

[皮質脊髄路の障害] - 誤りです。これは筋力の低下や筋肉の緊張の異常を引き起こす可能性がありますが、上記の症状とは異なります。