第109回薬剤師国家試験

◆問222-223

 65歳女性。高血圧症、骨粗しょう症、慢性便秘症及び脂質異常症の治療でかかりつけ薬局を利用し、処方1及び処方2の薬剤を2年間服用している。さらに、脂質異常症については食事療法の効果が不十分で、処方3を2ヶ月前に開始した。
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 昨夜から全身の筋肉痛が生じているため、一般用医薬品の痛み止めを求めて来局した。昨日は、日課としている約2kmの散歩しかしておらず、普段はその程度の運動で筋肉痛は起こらないと言う。また、胃が弱いので内服ではなく、テレビコマーシャルで見たロキソプロフェン含有テープ剤の購入を希望している。

◆ 問222

かかりつけ薬剤師のこの患者への対応として適切なのはどれか。 2つ選べ。
  • 処方3の薬剤の服用継続を指導する。
  • 最近の尿の色を確認する。
  • 体のだるさの有無を確認する。
  • ロキソプロフェン含有テープ剤を使用して様子をみるように勧める。
  • 補中益気湯の服用を勧める。

◆ 問223


◆ 問222

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


正解の選択肢を解説します。
[最近の尿の色を確認する。]
正解です。フェノフィブラートは、稀に肝機能障害を引き起こす可能性があります。肝機能障害がある場合、尿の色が通常よりも濃くなることがあります。そのため、尿の色の変化は肝機能障害の重要な指標です。患者さんに尋ねて、最近の尿の色を確認することで、肝機能障害の早期兆候を見逃さないようにしましょう。

[体のだるさの有無を確認する。]
正解です。同じくフェノフィブラートによる副作用として、筋肉痛や筋力低下が報告されており、これらは筋炎やラブドーマイオパシーの初期症状である可能性があります。体のだるさはこれらの症状に関連しているため、確認が必要です。患者さんに体のだるさを尋ね、適切な対応を行いましょう。


誤りの選択肢を解説は以下の通りです。
[処方3の薬剤の服用継続を指導する。]
誤りです。この選択肢は、医師の診察や検査結果に基づいて決定されるべきであり、薬剤師が独自に指導することは適切ではありません。特にフェノフィブラートは副作用があるため、患者さんの状態を医師が評価した上で、治療の継続や変更を決定する必要があります。

[ロキソプロフェン含有テープ剤を使用して様子をみるように勧める。]
誤りです。この患者さんは骨粗しょう症を患っており、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるロキソプロフェンを含むテープ剤は、胃腸障害や腎機能障害を引き起こすリスクがあるため、推奨されません。特に高齢者では副作用のリスクが高まるため、注意が必要です。

[補中益気湯の服用を勧める。]
誤りです。補中益気湯は漢方薬であり、慢性便秘症に用いられることがありますが、この患者さんはすでに酸化マグネシウムを服用しており、さらに漢方薬を追加する根拠は示されていません。また、漢方薬は処方された薬剤との相互作用がある可能性があるため、医師の指示なしに勧めるべきではありません。

◆ 問223

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


この患者の筋肉の状態を知るために血液検査を行う場合、注目すべき生体成分は以下の2つです。
[クレアチンキナーゼ]:正解です。[クレアチンキナーゼ]は筋肉や脳で産生される酵素であり、筋肉の損傷や炎症を評価するために測定されます。

[乳酸デヒドロゲナーゼ]:正解です。[乳酸デヒドロゲナーゼ]は細胞内で産生される酵素で、筋肉や臓器の損傷を評価するために測定されます。



間違いの選択肢についても解説します。
[ビリルビン]:[ビリルビン]は赤血球の分解産物であり、肝機能障害や溶血性疾患を評価するために測定されます。筋肉の状態とは直接関連がありません。

[ヘモグロビン]:[ヘモグロビン]は赤血球内に存在する酸素を運搬するためのタンパク質です。貧血の診断に用いられますが、筋肉の損傷や炎症を直接評価する指標ではありません。

[尿酸]:[尿酸]は体内でプリン体が分解される際に生成される物質です。高尿酸血症は痛風などの疾患と関連がありますが、筋肉の状態を反映するものではありません。