第109回薬剤師国家試験

◆問232-233

乳児(生後1ヶ月、女児)を連れた母親が、女児の1ヶ月検診を受けた後に、女児が服用している薬について相談したいことがあるということで、かかりつけ薬局に来局した。女児の出生時の体重は2,940gであり、母乳栄養で現在は3,890gである。女児は、メナテトレノンシロップ1mLを哺乳確立時、生後1週目(産科退院時)、今回と合計3回内服している。母親は、女児へのメナテトレノン投与の理由について薬剤師に質問をした。

◆ 問232


◆ 問233

薬剤師は母親にメナテトレノン投与によって、あるビタミンを補充できることを説明した。このビタミンが新生児や幼若乳児で不足する理由として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • 胎盤を通過しにくいため。
  • 母乳中の含有量が少ないため。
  • 胆汁分泌が低下している場合には、吸収されにくいため。
  • 新生児や乳児は代謝及び排泄が亢進しているため。
  • 新生児と乳児は、腸内細菌叢が未発達であるため。

◆ 問232

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


メナテトレノンは、ビタミンKの一種であり、出血リスクを軽減するために使用されます。特に新生児には頭蓋内出血などの出血リスクがあるため、メナテトレノンの投与が適切です。女児の体重増加も考慮して、薬剤師は適切な説明を行ったことでしょう。

[くる病の発症リスクを軽減するため。]
くる病はビタミンD不足によって引き起こされる疾患であり、ビタミンKとは関連がありません。したがって、メナテトレノンはくる病の予防には使用されません。

[黄疸等の肝障害リスクを軽減するため。]
黄疸は新生児によく見られる症状であり、通常は肝臓の未熟さによるものです。ビタミンKは肝機能には直接関与しないため、黄疸のリスクを軽減するために使用されるものではありません。

[神経管閉鎖障害のリスクを軽減するため。]
神経管閉鎖障害は妊娠初期の栄養不足、特に葉酸の不足が原因で起こります。ビタミンKは神経管の発達には関与していないため、このリスクを軽減するために使用されるものではありません。

[アレルギーの発症リスクを軽減するため。]
アレルギーの発症は多くの要因によって引き起こされますが、ビタミンKがアレルギーの予防に直接関与するという証拠はありません。


以上の理由から、正解は[頭蓋内出血等の出血リスクを軽減するため。]です。

◆ 問233

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


[胎盤を通過しにくいため。]
誤りです。胎盤は新生児にビタミンKを供給する役割を果たしますが、胎盤を通過する際にビタミンKは効率的に吸収されます。したがって、胎盤を通過する能力に問題はありません。

[母乳中の含有量が少ないため。]
誤りです。母乳はビタミンKを豊富に含んでいます。したがって、母乳を摂取している新生児や乳児はビタミンKの不足を心配する必要はありません。

[胆汁分泌が低下している場合には、吸収されにくいため。]
誤りです。胆汁はビタミンKの吸収に重要な役割を果たしますが、新生児や乳児は通常、胆汁の分泌が適切に行われています。したがって、胆汁の問題によるビタミンKの吸収の低下は考慮しなくても良いです。

[新生児や乳児は代謝及び排泄が亢進しているため。]
正解です。新生児や乳児は成長段階であり、代謝と排泄が活発です。ビタミンKは脂溶性ビタミンであり、脂肪組織に蓄積されます。したがって、新生児や乳児はビタミンKの補給が必要です。

[新生児と乳児は、腸内細菌叢が未発達であるため。]
誤りです。腸内細菌叢はビタミンKの合成に関与しますが、新生児や乳児は通常、腸内細菌叢が適切に発達していません。したがって、ビタミンKの不足は腸内細菌叢の未発達とは直接関係ありません。