第109回薬剤師国家試験

◆問234-235

55歳男性。身長165cm、体重46kg。脳血管障害により3年前から寝たきりの状態となり自宅療養中であった。ベッドから誤って転落し、大腿骨を骨折したため、入院となった。入院時、仙骨部に褥瘡が認められ、病態としては黄色期と判断されたことから、褥瘡チームが介入した。褥瘡チームが回診で確認したところ滲出液、創周囲の感染徴候が認められた。

◆ 問234

褥瘡チームの薬剤師による医師への提案として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 急性期の病態と考えられることから、積極的な薬物治療は行わず、経過観察する。
  • 抗菌薬を全身投与する。
  • スルファジアジン銀クリームを患部に塗布する。
  • 精製白糖・ポビドンヨード配合軟膏を患部に塗布する。
  • クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏を患部に塗布する。

◆ 問235


◆ 問234

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


正解の選択肢の解説は以下の通りです。
[スルファジアジン銀クリームを患部に塗布する。]
スルファジアジン銀クリームは、広範囲の細菌に対して効果があり、感染の予防と治療に使用されます。褥瘡の黄色期には、感染のリスクが高まるため、このクリームの使用が適切です。
[精製白糖・ポビドンヨード配合軟膏を患部に塗布する。]
精製白糖は創傷の浄化作用があり、ポビドンヨードは広範囲の微生物に対する殺菌作用があるため、この軟膏は褥瘡の治療に有効です。滲出液や感染徴候がある場合に特に推奨されます。


誤りの選択肢の解説は以下の通りです。
[急性期の病態と考えられることから、積極的な薬物治療は行わず、経過観察する。]
急性期の病態ではあるものの、滲出液や創周囲の感染徴候があるため、積極的な治療が必要です。経過観察のみでは、感染の悪化や拡大のリスクがあります。

[抗菌薬を全身投与する。]
全身投与の抗菌薬は、より重篤な全身感染が疑われる場合に考慮されますが、局所感染の治療には通常、局所的な治療が優先されます。

[クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏を患部に塗布する。]
クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏は強力なステロイド軟膏であり、炎症を抑える目的で使用されますが、感染がある場合には使用を避けるべきです。感染を悪化させる可能性があります。また、褥瘡治療には一般的に推奨されません。

◆ 問235

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


この患者さんの場合、非タンパク質カロリー/窒素比(NPC/N比)を計算するためには、まずタンパク質から窒素の量を求める必要があります。タンパク質の窒素含有率が16%であるため、60gのタンパク質に含まれる窒素の量は以下のように計算できます。
109回問234-235画像1


次に、非タンパク質カロリーを計算します。患者さんの体重は46kgで、1kgあたり30kcal必要とされているため、総エネルギー量は以下のようになります。
109回問234-235画像2


タンパク質由来のカロリーは、1gのタンパク質が約4kcalであるため、60gで240kcalとなります。したがって、非タンパク質カロリーは総エネルギー量からタンパク質カロリーを引いたものです。
109回問234-235画像3


最後に、NPC/N比を計算します。
109回問234-235画像4


よって選択肢の中でこの値に最も近いのは、正解は[120]です。