第109回薬剤師国家試験
◆問240-241
37歳女性。生後6ヶ月の男児あり。母乳哺育中。3ヶ月前に動悸、食欲亢進、体重減少が現れたため、かかりつけ医を受診したところ、甲状腺機能亢進が疑われ、精査の結果、バセドウ病と診断された。プロピルチオウラシル錠内服による治療が開始されたが、投与開始1ヶ月後の検査において、白血球数減少が認められたため、放射性同位体131Iを含む放射性医薬品(ヨウ化ナトリウム(131I)カプセル)による治療に変更することになった。◆ 問240
◆ 問241
この患者の治療に用いる放射性同位体131Iを含む放射性医薬品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、この放射性医薬品に含まれる131Iの物理学的半減期は8日、生物学的半減期は80日とする。-
131Iの壊変方式はβ+壊変で、β+線とγ線を放出する。
-
131Iの実効半減期は、7.3日である。
-
この医薬品は、非密封小線源として治療に用いられる。
-
131Iは体内に吸収されると、甲状腺だけでなく骨にも集積する。
-
脳腫瘍の治療にも用いられる。
◆ 問240
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:3、4
正解の選択肢について、以下の通りです。
[服用1~2週間前から、ヨウ素含有うがい液の使用を避けてください。]
正しいです。放射性ヨウ素治療を受ける前には、体内のヨウ素レベルを低く保つことが重要です。ヨウ素含有うがい液を使用すると、体内のヨウ素レベルが上がり、治療薬である放射性ヨウ素の効果が減少する可能性があります。
[服用後1週間は、子供との長時間の接触(添い寝など)は避けるようにしてください。]
正しいです。放射性ヨウ素治療後は、一時的に体から放射線が放出されるため、特に小さな子供や妊婦との接触は避ける必要があります。これにより、他人への放射線の影響を最小限に抑えることができます。
誤りの選択肢については以下の通りです。
[服用1~2週間前から、海藻類を含む食品などの摂取を増やしてください。]
誤りです。海藻類はヨウ素を豊富に含んでおり、放射性ヨウ素治療前にヨウ素を多く摂取すると、治療薬の効果が減少するため、避けるべきです。
[服用後も母乳哺育を継続することができます。]
誤りです。放射性ヨウ素治療後は、母乳を通じて放射性物質が赤ちゃんに移行するリスクがあるため、母乳哺育は避けるべきです。
[服用後も、洗濯やお風呂は同居の人と区別する必要はありません。]
誤りです。放射性ヨウ素治療後は、汗や尿などの体液に放射性物質が含まれるため、洗濯物やお風呂の水は他の家族と分けることが推奨されます。
◆ 問241
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:2、3
正解の選択肢について、解説します。
[131Iの実効半減期は、7.3日である。]
正しいです。実効半減期は、物理学的半減期と生物学的半減期の両方を考慮したものです。計算式は以下の通りです。

ここで、( Tphys )は物理学的半減期、( Tbio )は生物学的半減期です。与えられた値を用いると、

となります。
[この医薬品は、非密封小線源として治療に用いられる。]
正しいです。放射性同位体131Iを含む放射性医薬品は、非密封小線源として甲状腺に集積し、放射線を放出して甲状腺組織を破壊することで治療に用いられます。
誤りの選択肢については以下の通りです。
[131Iの壊変方式はβ+壊変で、β+線とγ線を放出する。]
誤りです。131Iはβ-壊変を行い、β-線(電子)とγ線を放出します。
[131Iは体内に吸収されると、甲状腺だけでなく骨にも集積する。]
誤りです。131Iは主に甲状腺に集積し、他の組織への集積は非常に少ないです。
[脳腫瘍の治療にも用いられる。]
誤りです。131Iは主に甲状腺疾患の治療に用いられ、脳腫瘍の治療には一般的に使用されません。