第109回薬剤師国家試験

◆問244-245

 夫婦と小学生2人の4人家族。冬休みに、スキー場近くのキャンプ場で大型テントを張り、その中で炭火を使って鉄板でバーベキューをしていた。また、テントの入り口付近では、暖房器具の電源として携帯型のガソリンエンジン発電機を使用していた。しばらくして、通りがかった隣のテントの男性が、昏睡状態で倒れているこの家族を発見した。
 搬送受入先の救急指定病院では、一酸化炭素ガス中毒を疑った救急救命チームの医師の指示で、血液検査と血液ガス分析が行われた。

◆ 問244

一酸化炭素ガス中毒の診断に最も有効な検査項目はどれか。1つ選べ。
  • pH
  • 重炭酸イオン
  • 動脈血二酸化炭素分圧
  • 血清クレアチニン値
  • カルボキシヘモグロビン

◆ 問245


◆ 問244

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


一酸化炭素ガス中毒の診断において、最も有効な検査項目は[カルボキシヘモグロビン]です。これは、一酸化炭素がヘモグロビンと結合して形成される化合物で、一酸化炭素の体内への取り込みを反映します。一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合する親和性が高いため、[カルボキシヘモグロビン]のレベルが上昇すると、酸素の運搬が妨げられ、組織への酸素供給が低下し、中毒症状を引き起こします。


誤りの選択肢についての解説は以下の通りです。
[pH]:血液の酸性度を示しますが、一酸化炭素ガス中毒の直接的な指標ではありません。

[重炭酸イオン]:血液中の緩衝系を反映しますが、一酸化炭素ガス中毒を特定する指標ではありません。

[動脈血二酸化炭素分圧]:呼吸機能を評価する指標ですが、一酸化炭素ガス中毒の診断には直接関係しません。

[血清クレアチニン値]:腎機能の指標であり、一酸化炭素ガス中毒とは関連がありません。

◆ 問245

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


正解の選択肢について、解説します。
[無色無臭で、空気よりもわずかに軽い可燃性の気体である。]
一酸化炭素は無色無臭で、人の感覚では検知することができません。また、一酸化炭素は空気よりもわずかに軽く、可燃性を持っています。これらの特性が、一酸化炭素が気づかれずに危険な状況を引き起こす要因となります。

[赤血球中のヘムと強固に結合して酸素の運搬を阻害する。]
一酸化炭素は赤血球中のヘモグロビンに含まれるヘムと結合しやすく、酸素よりも約250倍の親和性を持っています。このため、一酸化炭素がヘモグロビンと結合すると、酸素の運搬が阻害され、組織への酸素供給が不足し、中毒症状を引き起こします。


誤った選択肢について、解説します。
[独特の腐敗臭を有する気体で、窒息性の呼吸器障害を引き起こす。]
一酸化炭素は無臭であり、腐敗臭はありません。したがって、この記述は誤りです。

[無色で、呼吸器に対する刺激性を有する気体である。]
一酸化炭素は無色ですが、刺激性を持たないため、呼吸器に対する刺激を感じることはありません。この記述も誤りです。

[ヘモグロビンの二価の鉄を酸化し、酸素への結合能力を消失させる。]
一酸化炭素はヘモグロビンの鉄を酸化させるわけではなく、単にヘム部分に結合することで酸素の結合を阻害します。酸素への結合能力が消失するわけではないため、この記述は不正確です。