第109回薬剤師国家試験

◆問248-249

68歳男性。胸痛、咳嗽、発熱により救急外来を受診した。胸部X線検査で肺炎像と胸水貯留が認められ、重症細菌性肺炎が疑われたため入院となり、以下の処方と処方で治療を開始することとなった。
109回問248-249画像1
救急外来担当薬剤師がお薬手帳を確認したところ、てんかんの治療中であり、現在、バルプロ酸ナトリウム、レベチラセタム、ペランパネルを内服していることがわかった。

◆ 問248


◆ 問249

この患者で薬物相互作用が懸念される抗てんかん薬の作用機序はどれか。2つ選べ。
  • 炭酸脱水酵素を阻害して、神経細胞の過剰興奮を抑制する。
  • グルタミン酸AMPA受容体を遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。
  • T型Ca2+チャネルを遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。
  • シナプス小胞タンパク質(SV2A)と結合して、興奮性神経伝達物質の放出を抑制する。
  • GABAトランスアミナーゼを阻害して、シナプス間隙におけるGABA量を増加させる。

◆ 問248

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


正解の選択肢は[メロペネム]です。
バルプロ酸ナトリウム(VPA)は、カルバペネム系抗生物質であるメロペネムと併用すると、VPAの血中濃度が低下する可能性があります。これは、メロペネムがVPAの代謝を促進するためで、VPAの抗てんかん効果が減少する恐れがあるためです。この患者はてんかんの治療中であり、VPAの血中濃度の低下は発作コントロールを損なう可能性があるため、メロペネムの使用は避けるべきです。

誤りの選択肢の解説は以下の通りです。
[バルプロ酸ナトリウム]
この薬剤はてんかん治療に使用され、メロペネムとの相互作用により血中濃度が低下する可能性がありますが、他の選択肢と比較して相互作用のリスクはメロペネムによるものです。

[ペランパネル]
この薬剤は新しい抗てんかん薬であり、メロペネムとの相互作用に関する報告は特にありません。

[レベチラセタム]
これも抗てんかん薬であり、メロペネムとの相互作用は報告されていません。

[アセトアミノフェン]
解熱鎮痛薬であり、通常の用量ではバルプロ酸ナトリウムや他の抗てんかん薬との相互作用は少ないです。

◆ 問249

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


正解の選択肢は以下の通りです。
[T型Ca2+チャネルを遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。]
T型Ca2+チャネルを遮断する作用機序は、ペランパネルに関連しています。ペランパネルは、T型カルシウムチャネルの遮断により、神経細胞の過剰な興奮を抑制し、てんかん発作の予防に寄与します。

[GABAトランスアミナーゼを阻害して、シナプス間隙におけるGABA量を増加させる。]
GABAトランスアミナーゼを阻害する作用機序は、バルプロ酸ナトリウムに関連しています。バルプロ酸ナトリウムは、GABAトランスアミナーゼの阻害により、シナプス間隙におけるGABAの量を増加させ、神経細胞の興奮を抑制します。


誤りの選択肢は以下の通りです。
[炭酸脱水酵素を阻害して、神経細胞の過剰興奮を抑制する。]
炭酸脱水酵素を阻害する作用機序は、この患者が使用している薬剤には含まれていません。

[グルタミン酸AMPA受容体を遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。]
グルタミン酸AMPA受容体を遮断する作用機序は、この患者が使用している薬剤には含まれていません。

[シナプス小胞タンパク質(SV2A)と結合して、興奮性神経伝達物質の放出を抑制する。]
シナプス小胞タンパク質(SV2A)と結合して興奮性神経伝達物質の放出を抑制する作用機序は、レベチラセタムに関連していますが、この患者の薬物相互作用の懸念には直接関係ありません。