第109回薬剤師国家試験
◆問274-275
34歳既婚女性。高血圧症、逆流性食道炎治療中。かかりつけ薬局の薬剤師がいつもの薬をお渡しする際に副作用の発現状況などを確認していると、患者は半年前に結婚し、そろそろ子供が欲しいと思うようになったとのことであったが、患者背景については、薬歴が更新されていなかった。
◆ 問274
処方薬に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。-
エナラプリルは、消化管吸収の改善を目的としたプロドラッグである。
-
エナラプリルは、エステル部分の加水分解により代謝活性化される。
-
ランソプラゾールは、主にCYP2C19又はCYP3A4で代謝される。
-
ランソプラゾールは、苦味の軽減を目的としたプロドラッグである。
-
センノシドは、腸内細菌による代謝物が腸の蠕動運動を促進する。
◆ 問275
◆ 問274
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：4
誤っているのは[ランソプラゾールは、苦味の軽減を目的としたプロドラッグである。]です。
ランソプラゾールは苦味の軽減を目的としたプロドラッグではありません。ランソプラゾールはプロトンポンプ阻害剤であり、胃酸の分泌を抑制することを目的としています。プロドラッグとは、薬物が体内で活性形に変換される前には非活性または低活性である薬剤のことを指しますが、ランソプラゾールの設計目的は苦味の軽減ではなく、胃酸分泌の抑制にあります。
他の選択肢についての解説は以下の通りです。
[エナラプリルは、消化管吸収の改善を目的としたプロドラッグである。]
正しいです。エナラプリルはエステル型のプロドラッグであり、体内で活性形のエナラプリル酸に変換されます。
[エナラプリルは、エステル部分の加水分解により代謝活性化される。]
正しいです。これにより、エナラプリル酸という活性形に変換されます。
[ランソプラゾールは、主にCYP2C19又はCYP3A4で代謝される。]
正しいです。これらの酵素によって代謝され、薬効を発揮します。
[センノシドは、腸内細菌による代謝物が腸の蠕動運動を促進する。]
正しいです。センノシドは大腸で代謝され、その代謝物が腸の運動を刺激します。
◆ 問275
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：1、3
正解の選択肢を解説します。
[血圧コントロールのため、生活習慣や食習慣に気をつける。]
妊娠を希望する女性にとって、血圧の安定は非常に重要です。高血圧は妊娠中毒症のリスクを高めるため、適切な生活習慣と食習慣は、薬物療法と並行して血圧を管理する上で必要不可欠です。
[妊娠がわかったら、すぐに連絡してもらう。]
妊娠が判明した場合、薬物療法の見直しが必要になることがあります。特に高血圧治療薬には、胎児に影響を与える可能性のあるものが含まれているため、医師や薬剤師との迅速な連絡が求められます。
誤りの選択肢を解説します。
[現在服用中の血圧の薬は妊娠中でも服用可能である。]
これは一般的な情報ではなく、個々の薬剤によって異なります。多くの高血圧治療薬は妊娠中には推奨されません。そのため、この情報は医師の指示に基づく必要があります。
[逆流性食道炎の治療薬を市販の六君子湯などの漢方薬に変更する。]
逆流性食道炎の治療薬の中には妊娠中に使用できないものもありますが、自己判断で市販の漢方薬に変更することは推奨されません。治療薬の変更は医師の指導のもとで行うべきです。
[下剤は、一般用医薬品であれば、妊娠中でも服用可能である。]
下剤にも種類があり、妊娠中には使用できないものもあります。そのため、一般用医薬品であっても、妊娠中の使用は医師の指示に従うべきです。特に妊娠初期は胎児への影響が懸念されるため、注意が必要です。
