第109回薬剤師国家試験
◆問280-281
6歳男児。てんかん発作の治療のため、以前からバルプロ酸Naシロップ5%を服用している。進学に伴い、薬局薬剤師に服用回数を減らすことができないかとの相談があった。この男児は、2ヶ月前に上気道炎にて受診時に、錠剤が処方されたが服用できなかったため、散剤に変更となったと薬歴に記載されていた。そこで、セレニカR顆粒40%(注)の処方への変更を主治医に提案することになった。
◆ 問280
バルプロ酸Naシロップ剤から、セレニカR顆粒への処方変更への提案内容として、適切なのはどれか。1つ選べ。なお、分量は製剤量とする。-
1回0.6g 1日2回 朝夕食後
-
1回0.75g 1日2回 朝夕食後
-
1回1.5g 1日1回 朝食後
-
1回3.0g 1日1回 朝食後
-
1回6.0g 1日1回 夕食後
◆ 問281
◆ 問280
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：3
正解は[1回1.5g 1日1回 朝食後]です。
バルプロ酸Naシロップ5%の1回4mL（1日12mL）の処方をセレニカR顆粒40%に変更する際、
1日のバルプロ酸ナトリウムの総投与量を同等に保つ必要があります。
バルプロ酸Naシロップ5% 1回4mLはバルプロ酸ナトリウムとして200mgに相当するため、1日3回で600mgとなります。
セレニカR顆粒40%は1g中にバルプロ酸ナトリウムを400mg含むため、
1回1.5gで600mgのバルプロ酸ナトリウムが得られ、1日1回の投与で足りることになります。
従って、[1回1.5g 1日1回 朝食後]が正しい処方となります。
◆ 問281
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：3、5
正解の選択肢について、解説します。
[製剤内部の薬物が飽和濃度で、シンク条件が保たれる間は、薬物が一定速度で放出される。]
正解です。徐放性製剤は薬物が飽和濃度で存在し、シンク条件が保たれる限り、薬物が一定速度で放出されるように設計されているためです。これにより、薬物の血中濃度を一定に保ち、効果を持続させることができます。
[薬物を放出した後の残渣が便中に排出される。]
正解です。徐放性製剤は薬物を放出した後、残渣が便中に排出される設計になっているためです。これは、薬物が完全に放出された後の残渣が体外に排出されることを意味します。
誤りの選択肢について、解説します。
[水不溶性フィルムとしてヒドロキシプロピルセルロースが用いられている。]
誤りです。ヒドロキシプロピルセルロースは水溶性のフィルムを形成する材料であり、水不溶性フィルムとしては使用されません。
[消化液によって膨潤するゲル基剤としてエチルセルロースが用いられている。]
誤りです。エチルセルロースは水不溶性の材料であり、消化液によって膨潤するゲル基剤としては使用されないためです。
[製剤からの累積薬物放出量の時間推移は、Higuchi式に従う。]
誤りです。Higuchi式は固体からの薬物放出を記述するものであり、徐放性製剤からの薬物放出が常にこの式に従うとは限らないためです。放出メカニズムは製剤の設計によって異なります。
