第109回薬剤師国家試験

◆問298-299

11歳女児。小麦の食物アレルギーがあり、学校給食では除去食で対応し、学校にはアナフィラキシーショックに備え治療薬のエピペン注射液(株)を常備している。最近、夕食後にじん麻疹が身体の広範囲で現れるようになったため、かかりつけの医療機関を受診した。
(注)
エピペン注射液:アドレナリン注射液

◆ 問298

本患者の食物アレルギーに関して正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 原因食物を摂取してから数日後に症状が現れることが多い。
  • じん麻疹以外にも、消化器症状や呼吸器症状などを発症しやすい。
  • 皮膚プリックテストのみで確定診断できる。
  • 皮膚症状にはアドレナリンβ2受容体刺激薬が用いられる。
  • 成長に伴い本症状は軽快する可能性が高い。

◆ 問299


◆ 問298

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


本患者の食物アレルギーに関して、正しい選択肢は以下の2つです。
[じん麻疹以外にも、消化器症状や呼吸器症状などを発症しやすい。]
食物アレルギーは、皮膚症状だけでなく、消化器症状(例:腹痛、嘔吐、下痢)や呼吸器症状(例:呼吸困難、喉の腫れ)を引き起こすことがあります。アナフィラキーショックは、呼吸器症状や循環器症状(例:低血圧)を含む重篤なアレルギー反応です。

[成長に伴い本症状は軽快する可能性が高い。]
食物アレルギーは幼少期に多く見られますが、成長に伴い症状が軽快することがあります。ただし、全ての患者で同様に症状が改善するわけではありません。


誤りの選択肢を解説します。
[原因食物を摂取してから数日後に症状が現れることが多い。]
食物アレルギーの症状は、通常、原因食物を摂取してから数分から数時間以内に現れます。数日後に症状が現れることは稀です。

[皮膚プリックテストのみで確定診断できる。]
食物アレルギーの診断には、皮膚プリックテストだけでなく、血液検査や食物摂取試験も必要です。

[皮膚症状にはアドレナリンβ2受容体刺激薬が用いられる。]
アドレナリンはアナフィラキーショックの治療に使用されますが、皮膚症状には直接的には用いられません。

◆ 問299

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


エピペン注射液に関する記述で正しい選択肢について解説します。
[使用後は、症状が改善しても必ず医療機関で診察を受けるよう指導する。]
エピペンはアナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和するための補助治療剤であり、使用後は症状の進行を防ぐためにも、追加の治療が必要な場合があるため、必ず医療機関での診察を受けることが推奨されています。

[大腿部外側に着衣させた状態でも注射できる。]
エピペンは緊急時に迅速に使用することができるように設計されており、衣服の上からでも太ももの前外側に注射することができます。


誤りである選択肢は以下の通りです。
[使用前に、注射液が褐色であることを確認する。]
注射液が褐色に変色している場合は、薬剤が劣化している可能性があるため、使用する前には薬液が変色していないか確認し、変色していたら使用しないよう指示されています。

[自己注射は認められておらず、症状発現から30分経過後に医療機関で注射する。]
エピペンは自己注射が可能な製品であり、アナフィラキシーの症状が発現した際には、速やかに自己注射することが推奨されています。

[急激に上昇した血圧を下げる目的で使用される。]
エピペンは血圧を下げるためではなく、アナフィラキシーショックによる症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐために使用されます。血圧を下げる薬剤ではありません。