第109回薬剤師国家試験

◆問306-307

厚生康太(こうせいこうた)氏、75歳男性。身長170cm、体重65kg。一過性脳虚血発作で入院し、再発予防目的でプラビックス錠(注)25mgが1回2錠、1日1回の処方で服薬開始となった。2023年7月1日に起床時のふらつきと意識障害をきたし、近医へ救急搬送され、緊急入院となった。入院時の血糖値33mg/dL、入院翌日の空腹時血糖値14mg/dL、血中インスリン濃度127.5μIU/mL(基準値2.7~10.4)であった。プラビックス錠は入院直後に中止された。検査の結果、患者はプラビックス錠の副作用であるインスリン自己免疫症候群と診断された。入院7日後には検査所見、自覚症状ともに改善した。薬剤師は医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に基づき、医薬品安全性情報報告書を作成するとともに、実務実習中の薬学部学生にも報告書の作成の練習をしてもらうこととした。
(注)プラビックス錠:クロピドグレル硫酸塩錠

◆ 問306

本報告制度に基づく報告を行うことは、医薬品の安全対策を講じていくために重要である。副作用の報告に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 薬剤師は、製造販売業者が行う副作用情報の収集に協力するよう努めなければならない。
  • 薬剤師は、本報告制度により、知り得た副作用はすべて報告しなければならない。
  • 薬剤師は、本報告制度による報告を行う場合、患者の同意を得なければならない。
  • 製造販売業者は、自社が関与していない医薬品に関する副作用の情報を入手した場合も報告しなければならない。
  • 患者が自身の副作用を疑った場合、患者自ら独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告することができる。

◆ 問307


◆ 問306

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


正解の選択肢とその理由は以下の通りです。
[薬剤師は、製造販売業者が行う副作用情報の収集に協力するよう努めなければならない。]
正しいです。薬剤師は、製造販売業者が行う副作用情報の収集に協力することが求められています。これは、医薬品の安全性を確保し、患者の健康を守るために重要な役割を果たします。

[患者が自身の副作用を疑った場合、患者自ら独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告することができる。]
正しいです。患者自身が副作用を疑った場合、自らPMDAに報告することが可能です。これにより、医薬品の安全性情報がより広範に収集され、医薬品の安全対策が進められます。


誤りの選択肢とその理由は以下の通りです。
[薬剤師は、本報告制度により、知り得た副作用はすべて報告しなければならない。]
誤りです。薬剤師は、重大な副作用や未知の副作用について報告することが求められていますが、すべての副作用を報告する必要はありません。

[薬剤師は、本報告制度による報告を行う場合、患者の同意を得なければならない。]
誤りです。副作用の報告は、医薬品の安全性を確保するための重要な手段であり、患者の同意を得る必要はありません。ただし、患者のプライバシーを保護するため、報告は匿名化されます。

[製造販売業者は、自社が関与していない医薬品に関する副作用の情報を入手した場合も報告しなければならない。]
誤りです。製造販売業者は、自社が製造または販売した医薬品に関する副作用情報を収集し、報告する責任があります。自社が関与していない医薬品については、その責任はありません。ただし、その情報が重要であると判断された場合、適切な機関に報告することが推奨されます。

◆ 問307

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


選択肢1
適切です。プラビックス錠は医療用医薬品です。

選択肢2
適切です。患者の個人情報は保護されています。

選択肢3
不適切です。意識障害を伴っているため、重篤な副作用に印をつけるべきです。

選択肢4
適切です。問題文でもインスリン自己免疫症候群と診断されたと記載されています。

選択肢5
適切です。販売名で記入されています。