第109回薬剤師国家試験

◆問316-317

87歳男性。独居。日常生活に不安があるとのことで、近所に住んでいる娘が相談のため健康サポート薬局を訪れた。娘によると、男性の身体状態は比較的安定しているが、自宅は衣服が脱ぎっぱなしで、ゴミが散乱するなど以前より雑然としているとのこと。さらに、薬の飲み忘れがあり、同じことを何度も繰り返し話す、受診日を忘れることがあるとのことだった。1年ほど前に医師からは認知機能の低下が疑われると言われている。現時点でこの男性は要介護認定(要支援を含む)を取得していない。

◆ 問316

薬剤師がこの時点で家族や関係者に提案可能な内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 父親の行動について、医師に改めて認知機能の検査をしてもらうように提案した。
  • 低下した認知機能を元に戻す薬があるので、医師に相談するよう提案した。
  • 認知症の進行とともに徘徊や転倒のリスクも増大するので、ベッドに拘束して身体活動を抑制するように伝えた。
  • 認知症の家族会を紹介し、同じような問題を抱えている方の助言を聞いてみてはどうかと提案した。
  • 物忘れ防止のために、セント・ジョジョーンズワートの服用を勧めた。

◆ 問317


◆ 問316

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


[父親の行動について、医師に改めて認知機能の検査をしてもらうように提案した。]
現在の症状から、認知機能の低下が疑われているため、医師に再評価を依頼することは重要です。適切な検査を受けることで、具体的な認知機能の問題を特定し、適切な対応策を立てることができます。

[認知症の家族会を紹介し、同じような問題を抱えている方の助言を聞いてみてはどうかと提案した。]
家族会は、同じような状況にある人々が集まり、経験やアドバイスを共有する場です。他の家族がどのように対処しているかを聞くことで、娘さんが父親のケアに役立つ情報を得ることができます。

[低下した認知機能を元に戻す薬があるので、医師に相談するよう提案した。]
低下した認知機能を元に戻す薬があるかどうかは医師に相談する必要がありますが、具体的な薬剤の提案は避けるべきです。

[認知症の進行とともに徘徊や転倒のリスクも増大するので、ベッドに拘束して身体活動を抑制するように伝えた。]
拘束は最終手段として検討すべきであり、リスクを考慮して慎重に判断するべきです。

[物忘れ防止のために、セント・ジョジョーンズワートの服用を勧めた。]
セント・ジョジョーンズワートは物忘れ防止には適していないため、提案しない方が良いです。

◆ 問317

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


要介護認定の取得について、それぞれの選択肢について解説します。
[要介護認定の申請窓口はかかりつけの医療機関である。]
誤りです。要介護認定の申請窓口はかかりつけの医療機関ではありません。要介護認定の申請は、市区町村の介護支援課や介護保険担当窓口で行います。

[要介護認定の審査では医師の意見書は必要ではない。]
誤りです。要介護認定の審査では医師の意見書は必要です。医師の診断や意見は、要介護認定の判断に影響を与えます。

[認定審査はコンピューターによる1次判定と介護認定審査会による2次判定を経て行われる。]
正解です。認定審査はコンピューターによる1次判定と介護認定審査会による2次判定を経て行われます。最初にコンピューターが基準に基づいて判定し、その後介護認定審査会が審査を行います。

[最終判定として、認定調査員による心身の状況に関する面接調査が行われる。]
誤りです。最終判定として、認定調査員による心身の状況に関する面接調査が行われます。この面接調査は、要介護度を評価するために重要です。

[介護認定審査会の委員は保健・医療・福祉に関する学識経験者で構成される。]
正解です。介護認定審査会の委員は保健・医療・福祉に関する学識経験者で構成されています。彼らは専門的な知識を持ち、要介護度の判定に対して適切な判断を行います。