第109回薬剤師国家試験

◆問320-321

男性がかぜ症状を訴えて来局した。この薬局の薬剤師は男性の症状、既往歴、アレルギー歴、併用薬などを確認し、ある一般用医薬品を選択して男性に勧め、選択した医薬品に含まれる成分の効能を説明した。なお、選択した医薬品は指定第2類医薬品であり、濫用等のおそれのある医薬品に該当する。
<選択した一般用医薬品に含まれる成分>
アセトアミノフェン
アンブロキソール塩酸塩
L-カルボシステイン
ジヒドロコデインリン酸塩
クロルフェニラミンマレイン酸塩
リボフラビン(ビタミンB2)

◆ 問320

この薬の有効成分に関する説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • アセトアミノフェンは、発熱、頭痛、喉の痛み等、熱と痛みを鎮めます。
  • アンブロキソール塩酸塩は、咳の原因となる喉にからまるしつこい痰を出しやすくします。
  • L-カルボシステインは、咳中枢に働き、咳を鎮めます。
  • ジヒドロコデインリン酸塩は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状を抑えます。
  • リボフラビンは、気道粘液・粘膜を正常な状態に近づけます。

◆ 問321


◆ 問320

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


正解の選択肢について、それぞれの成分の効能を以下に説明します。
[アセトアミノフェンは、発熱、頭痛、喉の痛み等、熱と痛みを鎮めます。]
正解です。アセトアミノフェンは、解熱鎮痛剤に分類され、発熱や頭痛、喉の痛みなどの症状を緩和する効果があります。体内でプロスタグランジンの合成を抑制することにより、痛みや熱の感覚を減少させる作用があります。

[アンブロキソール塩酸塩は、咳の原因となる喉にからまるしつこい痰を出しやすくします。]
正解です。アンブロキソール塩酸塩は、気道液分泌促進作用や線毛運動亢進作用により、痰を出しやすくする効果があります。これにより、咳の原因となるしつこい痰を取り除くのを助け、呼吸を楽にします。


誤りの選択肢については、以下の理由で不適切です。
[L-カルボシステインは、咳中枢に働き、咳を鎮めます。]
誤りです。L-カルボシステインは、咳中枢に直接作用するのではなく、粘液の成分を調整して痰を薄くし、排出を容易にする作用があります。そのため、咳を直接鎮めるわけではありません。

[ジヒドロコデインリン酸塩は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状を抑えます。]
誤りです。ジヒドロコデインリン酸塩は、咳止め効果が主であり、くしゃみや鼻水、鼻づまりを抑える効果は主ではありません。この成分は主に呼吸器疾患における咳止め、鎮静に用いられます。

[リボフラビンは、気道粘液・粘膜を正常な状態に近づけます。]
誤りです。リボフラビン(ビタミンB2)は、皮膚や粘膜の健康を維持する効果がありますが、気道粘液や粘膜を正常な状態に近づける直接的な効能は示されていません。リボフラビンは主に体内の代謝プロセスに関与し、エネルギー産生や細胞の成長と維持に必要な栄養素です。

◆ 問321

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、4


指定第2類医薬品の取扱いに関して、正解の選択肢は以下の通りです。
[使用について専門家への相談を促す声かけや掲示等を行う必要がある。]
正解です。指定第2類医薬品は、特に注意を要する成分を含むため、禁忌の確認や専門家への相談を促す掲示や声かけが必要です。これにより、購入者が適切な情報を得て安全に使用できるようにするためです。

[購入者が高校生や中学生等の若年者である場合、氏名及び年齢等を確認する必要がある。]
正解です。若年者が濫用や誤用をするリスクを減らすためです。


誤りの選択肢は以下の通りです。
[購入者の運転免許証等の身分証の提示があれば、数量の制限なく販売できる。]
誤りです。指定第2類医薬品は、濫用のリスクがあるため、身分証の提示があっても数量に制限がある場合が多く、無制限に販売することは適切ではありません。

[使用者本人以外に販売することはできない。]
誤りです。指定第2類医薬品は、適切な情報提供と確認が行われれば、使用者本人以外にも販売することが可能です。

[購入者から質問がなかった場合も、書面を用いて情報提供を行わなければならない。]
誤りです。一般的には、購入者からの質問がなくても、指定第2類医薬品に関しては書面による情報提供が求められることがありますが、これは必ずしも全ての場合に当てはまるわけではありません。ただし、薬剤師は購入者に対して適切な情報提供を行う努力義務があります。