第109回薬剤師国家試験

◆ 問331

60歳男性。約30分前に胸痛を訴え、近隣病院の救急センターに搬送された。搬送時に意識障害が認められ、心拍40拍/分、血圧80/50mmHgであった。医師はこれらの症候が不整脈に伴う心拍出量低下で生じていると判断し、アトロピンによる緊急治療を開始することにした。救急担当薬剤師が即座に患者のお薬手帳から常用薬を確認したところ、アトロピンの使用にあたり、注意が必要な疾患に罹患している可能性が考えられた。その疾患の治療薬はどれか。2つ選べ。
  • チペビジンヒベンズ酸塩錠
  • テプレノンカプセル
  • ブリモニジン酒石酸塩点眼液
  • シロドシン錠
  • トピロキソスタット錠

◆ 問331

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


正解は[ブリモニジン酒石酸塩点眼液]と[シロドシン錠]です。
[ブリモニジン酒石酸塩点眼液]は、緑内障治療薬であり、アトロピンと併用すると眼圧が上昇するリスクがあります。アトロピンは副交感神経を遮断する作用があり、眼の毛様体筋を弛緩させることで、瞳孔を拡大し、眼圧を上昇させる可能性があるためです。

[シロドシン錠]は、前立腺肥大症の治療薬であり、アトロピンと併用すると尿閉を引き起こすリスクがあります。アトロピンは膀胱の平滑筋に対しても弛緩作用を持ち、尿の排出を困難にする可能性があるためです。


誤りの選択肢については以下の通りです。
[チペビジンヒベンズ酸塩錠]
鎮咳薬であり、アトロピンとの直接的な相互作用は報告されていません。

[テプレノンカプセル]
心不全治療薬であり、アトロピンとの相互作用は特に問題視されていません。

[トピロキソスタット錠]
痛風治療薬であり、アトロピンとの相互作用についての報告はありません。