第109回薬剤師国家試験

◆ 問334

 58歳女性。2ヶ月前に全身性エリテマトーデスによるループス腎炎と診断され、薬物治療を継続中である。以下の処方箋並びに検査結果を持って薬局を訪れた。
109回問334画像1
 患者から体調について、最近、手足のだるさやこわばり症状があることを聴取した。
 また、吐き気や下痢症状はないことを確認した。薬剤師は副作用を疑い、処方医に疑義照会したところ、対策案を依頼された。提案する事項として、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • ニカルジピンの中止
  • アトルバスタチンの中止
  • アゾセミドの追加
  • 塩化カリウムの追加
  • スピロノラクトンの追加

◆ 問334

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


この患者さんの症状と処方されている薬剤を考慮すると、適切な対策は以下の2つです。
[塩化カリウムの追加]
[スピロノラクトンの追加]


それぞれの選択肢について解説します。
[ニカルジピンの中止]
不適切です。ニカルジピンはカルシウムチャネルブロッカーであり、高血圧の治療に使用されます。この薬剤の中止は、患者さんの低カリウム血症に直接関連していません。また、ニカルジピンの副作用として低カリウム血症は一般的ではありません。

[アトルバスタチンの中止]
不適切です。アトルバスタチンはコレステロールを低下させるスタチン類の薬剤です。この薬剤の中止も、患者さんの低カリウム血症には直接関連していません。アトルバスタチンの一般的な副作用には筋肉痛や肝機能障害がありますが、低カリウム血症は含まれていません。

[アゾセミドの追加]
不適切です。アゾセミドは利尿薬であり、体内からナトリウムと共に水分を排出することで利尿作用を示します。しかし、この薬剤はカリウムの排泄も促進するため、低カリウム血症の患者には逆効果となり得ます。

[塩化カリウムの追加]
適切です。患者さんの血清カリウム値は2.8mEq/Lと低く、これは低カリウム血症を示しています。低カリウム血症は、筋力低下やだるさなどの症状を引き起こす可能性があります。塩化カリウムの追加は、血中のカリウム濃度を正常化し、これらの症状を改善するために必要です。

[スピロノラクトンの追加]
適切です。スピロノラクトンの追加 スピロノラクトンはアルドステロン拮抗薬であり、ナトリウムの排泄を促しながらカリウムの保持を助ける作用があります。これにより、低カリウム血症の治療に役立ちます。また、スピロノラクトンは心不全の治療にも使用されることがあり、体内の余分な水分を排出することで、心臓への負担を減らす効果があります。