第109回薬剤師国家試験

◆ 問335

 66歳男性。身長168cm、体重57kg。10年前からアルコール性肝炎及び無症候性脳梗塞で病院に定期通院の中、前回の診察で逆流性食道炎と診断され、ファモチジンが処方された。前回より1ヶ月経過した今回の受診時においても、逆流性食道炎の症状が続いていた。以下に、直近の処方並びに前回、今回の検査結果及び患者からの聞き取り内容を示す。

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 検査値並びに聞き取り内容に基づくこの患者の最近1ヶ月間に関する担当薬剤師のアセスメントとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • ファモチジンによる血小板減少が疑われる。
  • ウルソデオキシコール酸による肝機能改善が認められる。
  • チクロピジンによる汎血球減少が疑われる。
  • ニフェジピンはCCrに基づいて10mgに減量すべきである。
  • バルサルタンによる横紋筋融解症が疑われる。

◆ 問335

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


[ファモチジンによる血小板減少が疑われる。]
正解です。ファモチジンによる血小板減少が疑われます。これは、患者の血小板数が大幅に減少していること(前回の15.8 × 104/μLから今回の4.5 × 104/μLへの減少)と、青あざができたという自覚症状から推測されます。ファモチジンはまれに血小板減少を引き起こす副作用があります。

[ウルソデオキシコール酸による肝機能改善が認められる。]
誤りです。ウルソデオキシコール酸は肝機能を改善する効果がありますが、ASTとALTの値が高いままであり、肝機能が顕著に改善されているとは言えません。

[チクロピジンによる汎血球減少が疑われる。]
誤りです。チクロピジンによる汎血球減少も考えられますが、白血球数と赤血球数は比較的安定しており、血小板数の減少が特に目立っているため、チクロピジンよりもファモチジンの副作用の可能性が高いと考えられます。

[ニフェジピンはCCrに基づいて10mgに減量すべきである。]
誤りです。ニフェジピンの減量はCCrの値に基づく必要がありますが、患者のCCrは改善されているため(前回の53.3 mL/minから今回の58.6 mL/minへの増加)、減量の必要はありません。

[バルサルタンによる横紋筋融解症が疑われる。]
誤りです。バルサルタンによる横紋筋融解症は、筋肉痛や血中のクレアチンキナーゼ(CK)の上昇などの症状が伴いますが、これらの症状についての報告はありません。また、血清クレアチニンの値は改善されており、横紋筋融解症が疑われる状況ではありません。