第109回薬剤師国家試験

◆ 問339

 73歳男性。体重72kg。持続性心房細動及び高血圧症に対して治療中であった。自宅で階段を踏み外し、転倒したため救急搬送された。頭部CT検査は異常なしであったが、右前腕部尺骨の骨折による前腕部の腫脹が認められたため、保存治療のため入院することになった。入院時検査を行うとともに病棟薬剤師が持参薬の確認を行った。
109回問339画像1
 この患者の持参薬のうち、薬剤師が入院時に減量あるいは中止を提案する薬剤として、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • ビソプロロールフマル酸塩錠
  • オルメサルタン口腔内崩壊錠
  • スピロノラクトン錠
  • ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物懸濁用散分包
  • エドキサバントシル酸塩水和物口腔内崩壊錠

◆ 問339

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


正解の選択肢について説明します。
[ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物懸濁用散分包]
正解です。この薬は高カリウム血症の治療薬で、血液中のカリウムを体外に排出する作用があります。しかし、患者さんが骨折により活動が制限され、食事摂取が減少する可能性があるため、カリウムの排出が過剰となり低カリウム血症を引き起こす可能性があります。そのため、この薬の使用は慎重になるべきです。

[エドキサバントシル酸塩水和物口腔内崩壊錠]
正解です。この薬は抗凝固薬で、血液の凝固を抑える作用があります。しかし、患者さんが骨折しているため、出血リスクが高まっています。そのため、この薬の使用は一時的に中止することを提案します。


一方、他の選択肢は以下の理由で誤りです。
[ビソプロロールフマル酸塩錠]
誤りです。この薬はβ遮断薬で、心拍数を減少させ、血圧を下げる作用があります。患者さんが持続性心房細動と高血圧症を持っているため、減量あるいは中止の必要はありません。

[オルメサルタン口腔内崩壊錠]
誤りです。この薬はアンジオテンシンII受容体拮抗薬で、血圧を下げる作用があります。患者さんが高血圧症を持っているため、減量あるいは中止の必要はありません。

[スピロノラクトン錠]
誤りです。この薬はカリウム保持性利尿薬で、体内の余分な水分を排出し、血圧を下げる作用があります。患者さんが高血圧症を持っているため、減量あるいは中止の必要はありません。