第109回薬剤師国家試験

◆ 問343

 61歳女性。身長165cm、体重57kg。左上葉非小細胞肺がん(腺がん、EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性、PD-L1<50%)で骨転移があり、StageⅣM1b期と診断された。初回化学療法としてシスプラチン、ドセタキセル併用療法を導入することになった。
109回問343画像1
 この患者の化学療法を開始するにあたり、薬剤師の確認及び提案事項として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 非ステロイド性抗炎症薬が服用されていないことの確認
  • 中等度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐薬が処方されていることの確認
  • シスプラチンの希釈液として生理食塩液が処方されていることの確認
  • 通常の輸液によるハイドレーションを変更して、経口補液との併用によるショートハイドレーション法の推奨
  • 腎障害モニタリングを投与開始後3日目より実施

◆ 問343

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


正解の選択肢について以下の通りです。
[非ステロイド性抗炎症薬が服用されていないことの確認]
NSAIDsは腎機能に影響を与える可能性があり、シスプラチンのような腎毒性を持つ抗がん剤を使用する際には特に注意が必要です。したがって、NSAIDsが服用されていないことを確認することは、患者の安全を確保する上で重要です。

[シスプラチンの希釈液として生理食塩液が処方されていることの確認]
シスプラチンは生理食塩液で希釈することが一般的です。これは、シスプラチンが塩化物イオンと複合体を形成し、腎毒性を低減させるためです。そのため、希釈液として生理食塩液が処方されていることを確認することは、治療の安全性を高めるために重要です。

他の選択肢は以下の通りです。
[中等度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐薬が処方されていることの確認]
不適切です。シスプラチンは高度催吐性リスクの抗がん薬であり、中等度ではありません。したがって、中等度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐薬が処方されているかの確認は不要です。

[通常の輸液によるハイドレーションを変更して、経口補液との併用によるショートハイドレーション法の推奨]
不適切です。既往歴にうっ血性心不全があるため、ショートハイドレーション法は心不全のリスクを高める可能性があります。

[腎障害モニタリングを投与開始後3日目より実施]
不適切です。シスプラチンの投与開始直後から腎機能のモニタリングを行うべきであり、投与後3日目から開始するのは遅すぎます。