第109回薬剤師国家試験

◆ 問91

分子間相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • クーロン力は電荷間距離の2乗に反比例する。
  • 分散力は分子間にはたらく反発力である。
  • 水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合による。
  • 疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与している。
  • 核酸塩基対は配位結合により形成される。

◆ 問91

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


正解は[クーロン力は電荷間距離の2乗に反比例する。]と[疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与している。]です。

[クーロン力は電荷間距離の2乗に反比例する。]
これはクーロンの法則に基づいており、電荷を持つ粒子間の力は、電荷の大きさに比例し、粒子間の距離の二乗に反比例します。

[疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与している。]
これは水中で疎水性アミノ酸が互いに近づき、水分子を排除することにより、タンパク質が特定の立体構造を取る現象です。

間違いの選択肢について:
[分散力は分子間にはたらく反発力である。]
分散力は引力であり、分子間に働く反発力ではありません。分散力は、分子の電荷の揺らぎによって生じる一時的な双極子が引き起こすものです。

[水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合による。]
水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合によるものではなく、疎水性相互作用によるものです。界面活性剤の疎水性基が水分子を排除し合うことでミセルが形成されます。

[核酸塩基対は配位結合により形成される。]
核酸塩基対は配位結合ではなく、水素結合によって形成されます。例えば、アデニンとチミン(ウラシル)は2つの水素結合で結びつき、グアニンとシトシンは3つの水素結合で結びつきます。

覚えておくべき用語:
クーロンの法則: 電荷間の力の大きさが電荷の積に比例し、距離の二乗に反比例する法則。
疎水性相互作用: 水中で疎水性を持つ分子同士が集まる現象。
分散力: 分子の一時的な双極子が引き起こす引力。
水素結合: 分子間や分子内で、水素原子と電気陰性の高い原子(例えば酸素や窒素)との間に形成される弱い結合。核酸塩基対の形成に関与する。