第110回薬剤師国家試験

◆ 問134

化学物質の in vitro 遺伝毒性試験に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 細菌を用いる復帰突然変異試験は、試験菌株の表現型がアミノ酸非要求性に復帰することを利用する方法である。
  • マウスリンフォーマTK(チミジンキナーゼ)試験は、突然変異によりコロニーが形成されなくなることを利用する方法である。
  • 小核試験は、塩基対置換型の点突然変異を検出する方法である。
  • コメットアッセイは、切断されたDNAの電気泳動における移動度が小さくなることを利用して遺伝毒性を検出する方法である。
  • 不定期DNA合成試験は、損傷したDNAの修復合成を測定する方法である。

◆ 問134

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


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◆ユーザー投稿の解説

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**解説**

**総論**

化学物質のin vitro遺伝毒性試験は、被験物質が遺伝子や染色体に与える影響を評価する試験です。様々な試験法があり、それぞれ検出できる変異の種類や原理が異なります。本問では、各試験法の原理と特徴を理解しているかが問われています。

**各選択肢の解説**

*   **1. 正解**

    細菌を用いる復帰突然変異試験(Ames試験など)は、特定の遺伝子に変異を持つ試験菌株(例えば、アミノ酸要求性)が、被験物質によって突然変異が起こり、元の表現型(アミノ酸非要求性)に復帰することを検出する方法です。復帰した菌は培地中で増殖できるため、コロニーを形成します。

*   **2. 誤り**

    マウスリンフォーマTK試験は、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子の変異を検出する試験です。TK遺伝子が機能している細胞は、特定の薬剤(トリフルオロチミジンなど)に対して感受性を示しますが、TK遺伝子が変異により不活性化されると、薬剤耐性となりコロニーを形成します。つまり、突然変異によりコロニーが形成されることを利用します。選択肢の説明は逆です。

*   **3. 誤り**

    小核試験は、染色体異常または紡錘体機能異常によって生じる小核を検出する試験です。小核は、細胞分裂時に染色体の一部が核に取り込まれずに残ったもので、染色体構造異常や異数性の指標となります。塩基対置換型の点突然変異は、小核試験では検出できません。

*   **4. 誤り**

    コメットアッセイは、DNA鎖の切断(一本鎖切断や二本鎖切断)を検出する方法です。電気泳動を行うと、DNA鎖が切断されているほど移動度が大きくなり、彗星(コメット)のような形状に見えることから、この名がついています。移動度が小さくなるのではなく、大きくなることを利用して遺伝毒性を検出します。

*   **5. 正解**

    不定期DNA合成(UDS)試験は、DNA損傷に対する修復反応を測定する方法です。細胞がDNA損傷を受けると、DNA修復酵素が働き、損傷部位のDNAを修復するために新たなDNA合成(不定期DNA合成)が起こります。この不定期DNA合成を測定することで、DNA損傷の程度を評価します。
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