第110回薬剤師国家試験

◆問236-237

50歳男性。慢性腎臓病ステージ3b。脳梗塞急性期で経口摂取できず、3日間末梢静脈栄養を投与していたが、栄養不足が懸念されることから、主治医より完全静脈栄養(Total Parenteral Nutrition:TPN)の処方設計について薬剤師に相談があり、協働して実施することになった。

◆ 問236

処方を設計する際に、検討すべきこととして適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 腎機能への影響を考慮し、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を投与する。
  • 低リン血症のリスクがあるため、リン酸二カリウム製剤を投与する。
  • 代謝性アルカローシスのリスクがあるため、生理食塩液や塩化カリウム製剤を投与する。
  • 低カルシウム血症のリスクがあるため、活性型ビタミンD3製剤を投与する。
  • 腎不全が進行した場合、カリウム製剤を積極的に投与する。

◆ 問237


◆ 問236

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


※10~40秒程度掛かります。APIリクエストエラーが発生した場合は再実行することで解消される場合があります。

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◆ユーザー投稿の解説

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**解説**

TPN(Total Parenteral Nutrition:完全静脈栄養)は、経口摂取が困難な患者に対して、必要な栄養素を静脈から投与する方法です。慢性腎臓病(CKD)患者に対するTPN設計では、腎機能、電解質バランス、代謝異常などに特に注意が必要です。

**選択肢1:腎機能への影響を考慮し、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を投与する。**

*   **正誤:** 正

*   **解説:** CKD患者では、必須アミノ酸の代謝異常が生じやすく、特にBCAAの利用効率が低下することがあります。BCAA製剤は、腎機能への負担を軽減しながら、蛋白合成を促進する目的で使用されることがあります。必須アミノ酸をバランス良く投与することが重要です。

**選択肢2:低リン血症のリスクがあるため、リン酸二カリウム製剤を投与する。**

*   **正誤:** 誤

*   **解説:** TPN開始初期には、細胞内へのリンの取り込みが亢進し、低リン血症をきたすことがあります(refeeding syndrome)。しかし、CKD患者ではリンの排泄が低下しているため、TPN投与中に高リン血症になるリスクが高く、リン製剤の投与は慎重に行う必要があります。投与する場合は、血中リン濃度を頻繁にモニタリングし、過剰投与にならないよう注意が必要です。

**選択肢3:代謝性アルカローシスのリスクがあるため、生理食塩液や塩化カリウム製剤を投与する。**

*   **正誤:** 誤

*   **解説:** TPN投与により代謝性アシドーシスを引き起こす可能性があります。これは、アミノ酸代謝によって酸が生成されることや、腎機能低下によって酸の排泄が低下することが原因です。代謝性アルカローシスは、嘔吐や利尿薬の使用などが原因で起こることがあります。CKD患者では体液管理が重要であり、過剰な生理食塩液の投与は避けるべきです。また、カリウム製剤の投与は、高カリウム血症のリスクがあるため、慎重に行う必要があります。

**選択肢4:低カルシウム血症のリスクがあるため、活性型ビタミンD3製剤を投与する。**

*   **正誤:** 正

*   **解説:** CKD患者では、活性型ビタミンD3の産生が低下し、低カルシウム血症をきたしやすい状態にあります。また、TPN投与によりアルブミン濃度が低下すると、カルシウムとアルブミンの結合が減少し、見かけ上の低カルシウム血症になることがあります。活性型ビタミンD3製剤の投与は、カルシウム吸収を促進し、骨代謝を改善する効果が期待できます。

**選択肢5:腎不全が進行した場合、カリウム製剤を積極的に投与する。**

*   **正誤:** 誤

*   **解説:** 腎不全が進行すると、カリウムの排泄が低下し、高カリウム血症のリスクが高まります。そのため、カリウム製剤の投与は原則として避けるべきです。高カリウム血症は、不整脈や心停止を引き起こす可能性があり、生命に関わる緊急事態です。
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Good: 2 Bad: 2

◆ 問237

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


※10~40秒程度掛かります。APIリクエストエラーが発生した場合は再実行することで解消される場合があります。

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