第110回薬剤師国家試験

◆問272-273

25歳女性。身長160cm、体重55kg。朝、自室から起床してこないため、心配に思った家族が部屋の中に入ったところ、ベッドの上で仰向けになって意識を失っていた。呼びかけに反応しなかったため、救急隊を要請した。病院搬送時の意識レベルはJapan Coma Scale(JCS)200、血圧100/55mmHg、脈拍105拍/分、呼吸15回/分、体温36.0℃であった。採取した尿を用いて定性試験でバルビツール酸類が強陽性であった。家族からの情報によると、女性は以前よりてんかん治療のためフェノバルビタールを常用しており、たびたび体調を崩していた。胃内容物を分析したところ、フェノバルビタールが検出され、過量摂取による意識障害と診断された。

◆ 問272

薬剤師がフェノバルビタールの血清中濃度を測定したところ、65μg/mLであった。医師は、球形吸着炭の6時間ごとの繰り返し投与、及び炭酸水素ナトリウム注射液の持続投与を開始した。2日後、フェノバルビタールの血清中濃度は40μg/mLとなり、意識は徐々に回復した。フェノバルビタールの体内動態に及ぼす球形吸着炭及び炭酸水素ナトリウムの作用として、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 血漿タンパク結合の阻害
  • 肝取り込みの促進
  • 腸肝循環の抑制
  • 尿細管分泌の促進
  • 尿細管再吸収の抑制

◆ 問273


◆ 問272

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


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◆ユーザー投稿の解説

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**解説**

この問題は、フェノバルビタールの過量摂取における球形吸着炭と炭酸水素ナトリウムの体内動態への影響を問うものです。

**選択肢ごとの解説**

1.  **血漿タンパク結合の阻害:**
    *   フェノバルビタールは血漿タンパクと結合しますが、球形吸着炭や炭酸水素ナトリウムが直接的に血漿タンパク結合を阻害するわけではありません。血漿タンパク結合からの解離は、むしろpH変化や競合薬物の影響で起こりえます。

2.  **肝取り込みの促進:**
    *   球形吸着炭は消化管内で薬物を吸着し、吸収を阻害することで効果を発揮します。炭酸水素ナトリウムは尿のpHを上昇させることで薬物の排泄を促進します。どちらも肝臓への取り込みを促進するものではありません。

3.  **腸肝循環の抑制:**
    *   フェノバルビタールは腸肝循環を受ける薬物です。球形吸着炭は、胆汁中に排泄されたフェノバルビタールを消化管内で吸着し、再吸収を抑制することで、結果的に体内からの排泄を促進します。**したがって、この選択肢は正しいです。**

4.  **尿細管分泌の促進:**
    *   フェノバルビタールは弱酸性薬物であり、尿細管分泌によって排泄されますが、炭酸水素ナトリウムは尿のpHをアルカリ性にする事で尿細管再吸収を抑制することで排泄を促進します。

5.  **尿細管再吸収の抑制:**
    *   フェノバルビタールは弱酸性薬物です。炭酸水素ナトリウムを投与すると尿がアルカリ性になり、フェノバルビタールはイオン化されやすくなります。イオン化された薬物は細胞膜透過性が低下するため、尿細管での再吸収が抑制され、尿中への排泄が促進されます。**したがって、この選択肢は正しいです。**
```
Good: 0 Bad: 0

◆ 問273

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


※10~40秒程度掛かります。APIリクエストエラーが発生した場合は再実行することで解消される場合があります。

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