第110回薬剤師国家試験

◆ 問88

以下のうち、 Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) が用いられる指標として適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 医薬品自主回収時の健康危険度
  • インシデント発生時の患者への影響度分類レベル
  • 医薬品・医療機器等安全性情報の緊急度
  • 医薬品による有害事象の重症度
  • 患者の日常生活における制限の程度

◆ 問88

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


CTCAE(有害事象共通用語規準)は、米国国立がん研究所 (NCI) が作成した、医薬品や治療による有害事象(副作用)の重症度を評価するために使用される基準です。有害事象をGrade1~5の5段階で評価し、臨床試験や日常診療での有害事象の評価・報告の標準化に用いられます。
・Grade1・・・無症状 または軽度の症状で治療を要さない。
・Grade2・・・中等症で、治療を要し、日常生活に支障がある。
・Grade3・・・重症であるが、 直ちに生命を脅かすことはない。基本的日常生活の動作に支障がある。
・Grade4・・・生命を脅かす状態で緊急の処置を要する
・Grade5・・・有害事象による死亡

それぞれの選択肢を解説します。
誤:[医薬品自主回収時の健康危険度]
これは、医薬品が自主回収される際に、その製品が患者の健康に与えるリスク(危険度)を評価するための指標です。これにはリスクマネジメントの観点が含まれますが、CTCAEの目的は有害事象の「重症度」を評価することであり、健康危険度の評価はCTCAEとは異なります。

誤:[インシデント発生時の患者への影響度分類レベル]
インシデント(医療事故など)発生時の影響度分類レベルは、主に医療安全の管理や再発防止のために用いられる指標です。CTCAEは有害事象の「重症度」に焦点を当てており、インシデントの分類を直接扱うものではありません。

誤:[医薬品・医療機器等安全性情報の緊急度]
医薬品や医療機器に関連する安全性情報の緊急度評価は、PMDAや規制当局が行う情報整理やリスク評価に関連します。この分類はCTCAEの役割とは異なり、有害事象の重症度の評価を目的とするCTCAEはここには該当しません。

正:[医薬品による有害事象の重症度]
CTCAEは、医薬品や治療の有害事象を段階的に評価するための基準であり、「重症度」を評価するのがその主な役割です。有害事象を1~5のレベルで分類することで、治療効果と安全性のバランスを取るための重要な情報を提供します。したがって、この選択肢が正解です。

誤:[患者の日常生活における制限の程度]
患者の日常生活への影響度を評価する指標としては、例えばKarnofsky Performance Status(KPS)やEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスがありますが、CTCAEの主な焦点は「有害事象の重症度」にあります。日常生活への制限を直接評価するわけではありません。


CTCAEは、有害事象の重症度を評価するための標準化された基準です。したがって、[医薬品による有害事象の重症度]が正解となります。