第97回薬剤師国家試験

◆ 問156

中枢神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • ドネペジルは、中枢のアセチルコリンエステラーゼを阻害し、低下したコリン作動性神経伝達を促進する。
  • セレギリンは、脊髄多シナプス反射を抑制し、痙性麻痺における過剰な筋緊張を緩和する。
  • 炭酸リチウムは、縫線核のセロトニン作動性神経活動を選択的に抑制し、抗躁作用を示す。
  • エダラボンは、脳虚血障害により発生したフリーラジカルを消去し、神経細胞の酸化的障害を抑制する。
  • チザニジンは、脊髄のニコチン性アセチルコリン受容体の機能を抑制し、腰痛症の筋緊張を緩和する。

◆ 問156

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


ドネペジルは、中枢のアセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害し、脳内アセチルコリン濃度を増加させ、低下したコリン作動性神経伝達を促進する。


セレギリンは、モノアミンオキシダーゼB(MAOB)を選択的に阻害し、ドパミン分解を阻害してドパミン量を増大させる。


炭酸リチウムの作用機序はまだ完全に解明されていないが、特異的にイノシトール−1−リン酸分解酵素を阻害することによるイノシトールリン脂質代謝回転(PI代謝回転)を抑制していると考えられている。


エダラボンは、脳虚血障害により発生したフリーラジカルを消去し、脂質過酸化を抑制する作用により脳梗塞急性期に伴う機能障害を改善する目的で用いられる。


チザンジンは、中枢性筋弛緩薬であり、脊髄及び脊髄上位中枢のアドレナリンα2受容体を刺激して、脊髄多シナプス反射を抑制することで筋弛緩作用を示す。