第97回薬剤師国家試験

◆ 問190

30歳女性。動悸が主訴であった。半年ぐらい前から首が次第に太くなったことを自覚していた。首前面の腫大したところは、柔らかく特に触れて痛みはなかった。
【検査所見等】
BMI 18、脈拍110/分 整、TSH 0.01 µU/mL以下、FT4 5.0 ng/dL
コルチゾール 10.5 µg/dL
使用される薬物として、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • プロピルチオウラシル
  • レボチロキシンナトリウム
  • プロカテロール塩酸塩水和物
  • プラゾシン塩酸塩
  • プロプラノロール塩酸塩

◆ 問190

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


本患者は、動悸及び首が次第に太くなることを自覚しており、また、検査所見において、TSH(基準値:0.6〜4.1 µU/mL)は低値、FT4(基準値:0.9〜1.8 ng/dL)は高値を示している。これらのことから、本患者は、甲状腺機能亢進症に罹患していると考えられる。


プロピルチオウラシルは、甲状腺ペルオキシダーゼを阻害し、甲状腺ホルモンの生合成を抑制する作用を有するため、甲状腺機能亢進症に用いられる。


レボチロキシンナトリウムは、T4製剤であり、甲状腺機能低下症に用いられる。


プロカテロール塩酸塩水和物は、アドレナリンβ2受容体刺激薬であり、甲状腺機能亢進症による動悸などの症状を悪化させる可能性があるため、甲状腺亢進症の治療には用いられない。


プラゾシン塩酸塩は、アドレナリンα1受容体遮断薬であり、高血圧症や前立腺肥大症などに用いられるが、甲状腺機能亢進症には用いられない。


プロプラノロール塩酸塩は、アドレナリンβ受容体遮断薬であり、甲状腺機能亢進症による動悸などの症状を改善する作用を有するため、甲状腺機能亢進症の治療に用いられる。