第97回薬剤師国家試験

◆問214-215

医師から、感冒の患者に麻黄湯、小青竜湯を処方する際にどのような点に注意すべきか確認したい旨の問い合わせがあった。

◆ 問214

医師に伝えるべき注意点として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 下痢、軟便のある患者の場合、症状を悪化させることがある。
  • モノアミン酸化酵素阻害剤やカテコールアミン製剤との併用により、神経刺激作用が増強され、不眠や発汗過多になることがある。
  • 炎症性疾患の患者では症状を悪化させることがある。
  • 肝硬変又は肝癌の患者には使用禁忌である。
  • ループ系利尿薬やチアジド系利尿薬との併用により、低K血症が増強されることがある。

◆ 問215


◆ 問214

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


下痢、軟便を悪化させる漢方製剤には、大黄を含む大黄甘草湯などがある。


麻黄湯及び小青竜湯に含まれている麻黄の有効成分であるエフェドリンは交感神経興奮作用を有するため、麻黄を含む漢方製剤とモノアミン酸化酵素阻害剤やカテコールアミン製剤との併用により、神経刺激作用が増強され、不眠や発汗過多になることがある。


麻黄湯及び小青竜湯に含まれている甘草の有効成分であるグリチルリチン酸は、抗炎症作用を示す。よって、麻黄湯及び小青竜湯は、共に炎症を抑える作用を有する。


肝硬変又は肝癌の患者に使用禁忌の漢方製剤は、小柴胡湯である。


麻黄湯及び小青竜湯に含まれている甘草の有効成分であるグリチルリチン酸は、副作用として、低K血症を起こすことがあるため、甘草を含む漢方製剤とループ系利尿薬やチアジド系利尿薬との併用により、低K血症が増強されることがある。


・麻黄湯(配合生薬:麻黄、杏仁、桂皮、甘草)
効能・効果:頭痛、発熱、悪寒、腰痛、ぜん息、自然に汗の出ない場合の感冒、インフルエンザなど
・小青竜湯(配合生薬:麻黄、芍薬、甘草、桂皮、細辛、五味子、半夏、乾姜)
効能・効果:気管支ぜん息、鼻炎、気管支炎など

◆ 問215

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


問214の根拠となる配合生薬中の成分は「グリチルリチン酸」「l–エフェドリン」である(問214解説参照)。