第97回薬剤師国家試験

◆問234-235

午前8時半頃、半裸で意味不明の言葉を叫びながら路上で暴れていた男性が警察官に保護された。言動から薬物中毒が疑われたため、警察官は救急車を手配し、男性は救急病院に搬送された。男性の来院時の状態は以下の通りであり、担当医師から、救急救命室担当の薬剤師に、原因薬物の検査と治療薬の提案が依頼された。
【身体所見】
呼吸数:42/分、脈拍:160/分、体温:38℃、瞳孔 散大・対光反射減弱、発汗なし、歯咬み・歯ぎしり著明、口唇チアノーゼ、四肢の冷感、呼吸時に「ウー、ウー」と喘ぎながら首を左右に常同的に振る、左上肢に多数の注射痕あり

◆ 問234


◆ 問235

この患者の治療に最も適切な薬物はどれか。1つ選べ。
97回問234-235画像1

◆ 問234

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


路上で暴れていたことや身体所見(呼吸数増加、頻脈、体温上昇、瞳孔散大)より、患者は中枢興奮している状態であると考えられ、また、左上肢に多数の注射痕があることから、注射により薬物を摂取していると考えられる。これらのことから、原因薬物はメタンフェタミンであると推定される。なお、大麻、LSD(リゼルギン酸ジエチルアミド)、トリアゾラムは経口により摂取されるため、原因薬物とは考えられず、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)は注射により摂取されるが、呼吸数減少、縮瞳が認められるため、原因薬物とは考えられない。

◆ 問235

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


本患者の治療に用いられる薬物はジアゼパム(選択肢1)である。ジアゼパムはメタンフェタミン投与による激しい興奮を抑制する目的で用いられる。



アトロピン:有機リン系殺虫剤やカルバメート系殺虫剤による中毒の治療に用いられる。


ナロキソン:モルヒネの急性中毒による呼吸抑制の改善に用いられる。


アセチルシステイン:アセトアミノフェンによる中毒の治療に用いられる。


プラリドキシムヨウ化メチル:有機リン系殺虫剤による中毒の治療に用いられる。