第97回薬剤師国家試験

◆問300-301

55歳男性。高血圧を指摘され、Ca2チャネル遮断薬を処方されているが、不定期にしか受診していなかった。今回、足に傷ができて治らないと相談に来局した。右足に直径5 cm大の皮膚潰瘍があり、病変部は悪臭を伴っていた。すぐ、内科受診を勧めた。内科受診時、以下の所見を示した。
【身体所見】
BMI 27、血圧150/90 mmHg
【尿検査】
尿潜血(-)、尿タンパク(2+)、尿糖(4+)、ケトン体(-)
尿中Cペプチド 50 μg/日(正常値35~140 μg/日)
【血液検査】
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)25 IU/L
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)30 IU/L
γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)50 IU/L
血中尿素窒素(BUN)20 mg/dL、血清クレアチニン(Scr)1.0 mg/dL
空腹時血糖 210 mg/dL、HbA1C 9.6%

◆ 問300

この患者に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • 膵臓のインスリン分泌能は廃絶している。
  • 血圧は130/80 mmHg未満を維持するように治療する。
  • 腎病変の早期検出には尿中アルブミンを検査する。
  • 食事療法が必要である。
  • 足の病変は、細小血管障害が関与している。

◆ 問301


◆ 問300

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


身体所見(足に傷ができて治らない、皮膚潰瘍がある)および検査値(尿糖、尿タンパク、尿中Cペプチド、空腹時血糖、HbA1c)より、本患者は2型糖尿病とそれに伴う糖尿病下肢壊疽、糖尿病性腎症を合併していると推測される。


尿中Cペプチドが正常範囲内にあるため、膵臓のインスリンは廃絶していないと推定される。尿中Cペプチドは、膵臓のランゲルハンス島から分泌されるプロインスリンより生成されるため、内陰性インスリン分泌能を確認するための指標として用いられる。


糖尿病患者の降圧目標値は、130/80 mmHg未満である。


腎病変の初期には、尿中にアルブミンが検出されるため、尿中アルブミンを検査する。なお、腎病変が進行すると血清クレアチニン値が上昇する。


糖尿病の治療をするに当たっては、食事療法と運動療法が基本となる。


足の病変(糖尿病下肢壊疽)には、末梢神経障害、細小血管障害、白血球の貪食能低下が関与している。

◆ 問301

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


グリベンクラミドは、通常1日1.25〜2.5 mgで用いられ、1日最高投与量は10 mgである。


シタグリプチンリン酸塩水和物は、通常1日50 mgで用いられ、1日最高投与量は100 mgである。


ピオグリタゾン塩酸塩は、通常1日15〜30 mgで用いられ、1日最高投与量は45 mgである。ただし、インスリン併用時は、1日最高投与量30 mgである。


ボグリボースは、通常1日0.6 mgで用いられ、1日最高投与量は0.9 mgである。


トルブタミドは、通常1日500〜1,000 mgで用いられ、1日最高投与量は2,000 mgである。