第97回薬剤師国家試験

◆ 問329

高カロリー輸液療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 腸閉塞で消化管からの栄養補給ができない患者に適用できる。
  • 乳酸アシドーシスの予防のため、ビタミンB1の併用が必要である。
  • 腎不全患者では、窒素に対する非タンパク質カロリーの比を150~200に設定する。
  • ナトリウムイオンの1日投与量として、20~30 mEq/kgを目安とする。
  • 浸透圧比を1~2に設定する。

◆ 問329

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


腸閉塞など消化管からの栄養補給が不十分である場合、高カロリー輸液療法を適用することが可能である。


高カロリー輸液療法を行うと、高カロリー輸液に含まれるブドウ糖によって多量のビタミンB1が消費される。ビタミンB1が不足した状態でブドウ糖が供給されると、嫌気的解糖系によりブドウ糖は乳酸へと代謝される。よって、高カロリー輸液療法中は、乳酸アシドーシスの予防のため、ビタミンB1の併用が必要である。


窒素に対する非タンパク質カロリー(NPC/N)比とは、アミノ酸以外の栄養素から得られるエネルギー量とアミノ酸に含まれる窒素量の比のことであり、腎不全患者では、窒素量を制限する必要があるため、NPC/N比を300〜500に設定する必要がある。なお、健常人では、NPC/N比を150〜200に設定する。


ヒトが生体維持のために必要な1日のナトリウムイオン量は約90〜120 mEqとされている。よって、ナトリウムイオンの1日投与量として、1~2 mEq/kgを目安とする。


高カロリー輸液療法では、中心静脈に緩徐に輸液を投与するため、浸透圧の高いものを使用しても、疼痛及び組織障害などを起こすことはない。よって、高カロリー輸液の浸透圧比を1〜2に設定する必要はない。