第98回薬剤師国家試験

◆ 問163

副腎皮質ホルモンとそれに関連する薬物に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • メチラポンは、11β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)の阻害によりコルチゾール産生を抑制する。
  • リシノプリルは、アンギオテンシンⅡの産生阻害により、副腎皮質におけるアルドステロン分泌を抑制する。
  • ヒドロコルチゾンは、細胞内に存在する受容体と複合体を形成し、標的遺伝子に結合することで遺伝子発現を変化させる。
  • デキサメタゾンは、コルチゾールに比べて、糖質コルチコイド作用は強いが、鉱質コルチコイド作用は弱い。
  • エプレレノンは、糖質コルチコイド受容体の遮断により利尿作用を示す。

◆ 問163

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


メチラポンは、ステロイドホルモンの生合成過程において11β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)を阻害し、コルチゾール産生を抑制する。脳下垂体前葉の機能が正常であれば、血中コルチゾール濃度が低下することにより、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌が亢進するため、下垂体ACTH分泌能検査に用いられる。


リシノプリルは、アンギオテンシン変換酵素を阻害し、アンギオテンシンⅡの産生を阻害することにより副腎皮質からのアルドステロン分泌を抑制する。


ヒドロコルチゾンは、ステロイドホルモンであり、細胞質に存在するステロイドホルモンの受容体と複合体を形成し、転写因子として作用することにより遺伝子発現を変化させる。


デキサメタゾンは、合成糖質コルチコイド製剤であり、天然糖質コルチコイドであるコルチゾールと比較し、糖質コルチコイド作用は強いが、鉱質コルチコイド作用は弱い。


エプレレノンは、鉱質コルチコイド(アルドステロン)受容体を選択的に遮断することにより、腎でのNa−K交換系を抑制して利尿作用を示す。