第98回薬剤師国家試験

◆問216-217

60歳女性。乳がんの腸骨転移による骨病変のため、ゾレドロン酸水和物注射液が投与されることになった。

◆ 問216


◆ 問217

ゾレドロン酸は、骨代謝に影響する薬物である。骨代謝に関連する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • カルシウムが、血液中から吸収されて骨に沈着することを骨吸収という。
  • 骨芽細胞は、コラーゲンなどの有機物を分泌し、骨形成を進行させる。
  • 上皮小体ホルモン(PTH)は、腎臓からのカルシウムの排泄を促進させる。
  • 上記の処方から、この患者では高カルシウム血症が生じていると考えられる。
  • ゾレドロン酸は、破骨細胞を活性化させる。

◆ 問216

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


ゾレドロン酸水和物注射液は重大な副作用として、急性腎不全、間質性腎炎、うっ血性心不全、低カルシウム血症、間質性肺炎、顎骨壊死・顎骨骨髄炎などを起こすことがある。

◆ 問217

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、4


カルシウムが、血液から供給されて骨に沈着することを骨形成という。なお、骨吸収とは、破骨細胞によって骨のカルシウムが融解して、血液中のカルシウム濃度が上昇することである。


骨芽細胞は、コラーゲンやオステオカルシンなどの有機物及びリン酸カルシウムなどの無機物を細胞外へ分泌することにより骨形成を進行させる。


上皮小体ホルモン(PTH)は、腎でのカルシウムの再吸収を促進し、血液中のカルシウム濃度を上昇させる。


ゾレドロンは、悪性腫瘍による高カルシウム血症の治療に用いられることから、この患者では高カルシウム血症が生じていると考えられる。


ゾレドロン酸は、破骨細胞のアポトーシス誘導および機能喪失を誘発する。