第98回薬剤師国家試験

◆問252-253

糖尿病患者が以下の処方せんを持って保険薬局に来局した。なお、この薬局には初めての来局である。
98回問252-253画像1

◆ 問252

 処方されたこれらの薬剤の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • α-アミラーゼを競合的に阻害し、食後高血糖を抑制する。
  • ATP感受性Kチャネルを遮断し、膵β細胞を脱分極させる。
  • ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害し、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分解を抑制する。
  • GLP-1受容体を直接刺激し、血糖値を低下させる。
  • グルカゴンの分泌を抑制し、血糖値の上昇を抑制する。

◆ 問253


◆ 問252

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


ボグリボースはα−グルコシダーゼ阻害薬であり、α−グルコシダーゼを競合的に阻害し、二糖から単糖への分解を抑制する。
シタグリプチンリン酸塩はジペプチジルペプチターゼ−4(DPP−4)阻害薬であり、DPP−4を阻害することによりインクレチン(グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP))の分解を抑制し、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進するとともに、グルカゴン分泌を抑制する。


ATP感受性Kチャネルを遮断し、膵β細胞を脱分極させる薬物は、スルホニル尿素(SU)剤(トルブタミド、グリベンクラミドなど)である。


GLP-1受容体を直接刺激し、血糖値を低下させる薬物は、GLP−1アナログ製剤(リラグルチド、エキセナチドなど)である。

◆ 問253

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


ボグリボースはインスリン分泌促進作用を有しない。


ボグリボースは副作用として腹部膨満、放屁増加等を起こすことがある。


シタグリプチンは、インクレチンを分解する酵素を阻害することによりインクレチンの作用を増強し、血糖値を下げる。


α−グルコシダーゼを阻害すると、二糖を単糖に分解することができないため、ボグリボースなどのα−グルコシダーゼ阻害薬服用中に低血糖症状が現れた場合、砂糖水を服用しても低血糖症状は改善しない。よって、ボグリボースなどのα−グルコシダーゼ阻害薬服用中に低血糖症状が現れた場合、ブドウ糖を摂取する必要がある。


シタグリプチンは腎機能障害患者に投与禁忌とされており、ボグリボースは腎機能障害患者に慎重投与とされているため、設問の処方内容の場合、腎機能について確認する必要がある。
*注意*
シタグリプチンについては、2013年8月に重度の腎機能障害患者への投与が禁忌から慎重投与に変更されている。