第99回薬剤師国家試験

◆ 問130

有害物質とその生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標の組合せのうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
99回問130画像1

◆ 問130

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


無機鉛の生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標は、δ−アミノレブリン酸、コプロポルフィリンである。無機鉛に曝露されると、ヘム合成酵素(δ−アミノレブリン酸脱水酵素およびフェロキレターゼ)が阻害されるため、尿中のδ−アミノレブリン酸、コプロポルフィリンが増加する。


カドミウムの生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標は、β2−ミクログロブリンである。カドミウムに曝露されると、腎臓の近位尿細管障害が起こるため、尿中にβ2−ミクログロブリンが排泄されるようになる。


水銀の生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標は、無機水銀である。水銀は、主に無機水銀、金属水銀、アルキル水銀(メチル水銀など)として存在している。
・無機水銀は、ほとんど未変化体のまま尿中に排泄される。
・金属水銀は、酸化され無機水銀として尿中排泄される。
・メチル水銀は、ほとんどが毛髪中に排泄される。
なお、コプロポルフィリンは、無機鉛暴露の生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標である。


キシレンの生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標は、メチル馬尿酸である。キシレンは、生体内でシトクロムP450による代謝およびグリシン抱合を受けたあと、メチル馬尿酸となる。なお、クレゾールは、トルエン曝露の生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標である。


ベンゼンの生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標は、フェノールである。ベンゼンは生体内でシトクロムP450による代謝を受けたあと、フェノールとなる。なお、マンデル酸は、スチレン曝露の生物学的モニタリングに用いられる尿中の指標である。