第99回薬剤師国家試験

◆ 問138

 逆転層と大気の安定度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 放射性逆転は、地表近くにおいてよりも上空においての方が生じやすい。
  • 盆地などの低地において、冷たい空気が周りの斜面に沿って降りてきて起こる逆転のことを地形性逆転という。
  • 寒気団が暖気団の下に入り込んで起こる逆転のことを沈降性逆転という。
  • 逆転層内では汚染物質(例えば煙突の煙)は拡散しやすい。
  • 実際の大気の気温減率(高度が上がるにしたがって気温が下がる割合)が乾燥断熱減率(0.98℃/100 m)より大きいとき、大気は不安定となる。

◆ 問138

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


 放射性逆転では、上空においてよりも地表近くにおいての方が生じやすい。放射性逆転は、晴天の日没後、放射冷却により、上空よりも地表付近の温度が低下しやすくなることで発生する。


 地形性逆転は、周囲の高地から冷たい空気が斜面に沿って降りてくることにより発生する。


 寒気団が暖気団の下に入り込んで起こる逆転のことを前線性逆転という。なお、沈降性逆転とは、高気圧圏内の上空において、空気が断熱圧縮することにより生じる逆転のことである。


 逆転層内では大気の動きが悪くなる(大気が安定な状態となる)ため、汚染物質は拡散しにくい。


 実際の大気の気温減率(高度が上がるにしたがって気温が下がる割合)が乾燥断熱減率(乾燥した空気塊が断熱的に上昇した場合、その空気塊の膨張により温度が下がる割合:0.98℃/100 m)よりも大きい場合、大気の拡散性が大きくなるため、大気は不安定となる。