第99回薬剤師国家試験

◆ 問166

薬物の生体膜輸送についての記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 単純拡散による輸送速度は薬物濃度差に比例するが、促進拡散及び能動輸送で飽和性が見られる。
  • 単純拡散による輸送は生体エネルギーを必要としないが、促進拡散及び能動輸送では生体エネルギーを必要とする。
  • 単純拡散及び促進拡散の場合、薬物の濃度勾配に従って輸送されるが、能動輸送では濃度勾配に逆らって輸送される場合がある。
  • 能動輸送はトランスポーターを介して起こるが、単純拡散及び促進拡散にはトランスポーターは関与しない。
  • 単純拡散及び促進拡散の場合、構造類似体の共存による影響は受けないが、能動輸送では影響を受ける場合がある。

◆ 問166

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


単純拡散による輸送速度は、Fickの法則に従うため、その輸送速度と薬物濃度差は比例の関係を示す。促進拡散及び能動輸送はMichaelis−Menten式に従うため、それらの輸送では飽和性が見られる。


単純拡散及び促進拡散による輸送は生体エネルギーを必要としないが、能動輸送では生体エネルギーを必要とする。


単純拡散及び促進拡散では、濃度勾配に従った輸送が起こるが、能動輸送では、濃度勾配に逆らった輸送が起こることがある。


促進拡散及び能動輸送は、トランスポーターを介して起こるが、単純拡散にはトランスポーターは関与しない。


単純拡散の場合、構造類似体の共存による影響を受けないが、能動輸送及び促進拡散では、構造類似薬物の共存により、膜透過速度が低下することがある。