第99回薬剤師国家試験

◆問218-219

57歳男性。身長165 cm、体重70 kg。20歳代前半よりほぼ毎日、日本酒にして1日3合(540 mL)程度の飲酒を続けている。1年ほど前に下肢のむくみを自覚し、近医を受診した結果、肝機能障害を指摘されたが放置していた。最近、全身の倦怠感を強く感じるようになり来院した。非代償性肝硬変と診断され、以下の薬剤が処方された。
99回問218-219画像1

◆ 問218

この処方薬による副作用について、患者に対する薬剤師の説明内容として適切なのはどれか。1つ選べ。
  • めまい等が現れる場合があるので、自動車運転、高所作業又は危険を伴う機械の操作などには十分注意してください。
  • 急に胃のあたりがひどく痛む場合があるので、その際には直ちに医師又は薬剤師に申し出てください。
  • しゃべりにくい、胸の痛み、呼吸困難、片方の足の急激な痛みや腫れ等の症状がみられる場合があるので、その際には直ちに医師又は薬剤師に連絡してください。
  • から咳、息苦しさ、息切れ等が生じる場合があるので、その際には直ちに医師又は薬剤師に連絡してください。
  • 手足のこわばりやしびれ、脱力感、筋肉の痛み等が現れる場合があるので、その際には直ちに医師又は薬剤師に連絡してください。

◆ 問219


◆ 問218

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


スピロノラクトン錠、フロセミド錠は利尿薬であり、副作用としてめまいやふらつきが現れる場合があるため、自動車運転、高所作業又は危険を伴う機械の操作などには十分注意するよう指導する。


記述のように説明するのは、副作用として胃腸障害を起こす薬物(NSAIDs、副腎皮質ホルモンなど)が処方されている場合である。


記述のように説明するのは、副作用として血栓症や塞栓症を起こす薬物(エストロゲン製剤など)が処方されている場合である。


記述のように説明するのは、副作用として空咳を起こす薬物(アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬など)が処方されている場合である。


記述のように説明するのは、副作用として横紋筋融解症を起こす薬物(フィブラート系薬剤やスタチン系薬剤など)が処方されている場合である。

◆ 問219

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


分枝鎖アミノ酸は、主に筋肉で代謝される。なお、主に肝臓で代謝されるアミノ酸は、芳香族アミノ酸(トリプトファンやチロシンなど)である。


アルブミンは血漿中に存在するタンパク質であり、生体内の膠質浸透圧維持に重要な役割を果たしている。肝機能低下により肝臓でのアルブミン産生が低下すると、膠質浸透圧の低下により組織内に水分が移行し、浮腫が誘発される。


肝機能低下により肝臓でのアンモニアから尿素への変換が低下すると、脳へ移行するアンモニアの量が増加し、肝性脳症が誘発される。


ビリルビンはヘモグロビンの代謝物であり、肝臓においてグルクロン酸抱合を受けた後排出される。肝機能低下によりグルクロン酸抱合能が低下すると、血中ビリルビン濃度が上昇し、黄疸が生じる。


肝機能低下によりフィブリノーゲン、プロトロンビン等の血液凝固因子が減少すると、出血傾向がみられる。なお、ヘパリンは肥満細胞等で産生される抗凝固因子であり、合成が低下すると血栓が形成されやすくなる。