第99回薬剤師国家試験

◆問226-227

66歳女性。2ヶ月ほど前から労作時の息切れと体のだるさを感じ、病院を受診した。女性は6年前に胃がんで胃全摘術を受け、2年前まで定期的な検査通院をしていた。
身体所見及び血液学的検査値は、脈拍108/分、血圧105/60 mmHg、赤血球125万/μL、白血球3,500/μL、血小板13万/μL、Hb 4.4 g/dL、Ht 14%、MCV 110 fLであった。女性には、ビタミン成分を含有する薬剤Aの投与が行われ、ミネラル成分を含有する薬剤Bが処方された。

◆ 問226


◆ 問227

薬剤Bの服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 血圧が上がることがありますので、定期的に血圧を測定しましょう。
  • 眠くなることがありますが、ご心配ありません。
  • 便の色が黒っぽくなることがありますが、ご心配ありません。
  • 出血すると、血が止まりにくくなることがありますが、その時は医師に相談してください。
  • この薬と同時に飲むと吸収が悪くなる薬がありますので、薬剤師に相談してください。

◆ 問226

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


本患者は、2ヶ月ほど前より労作時の息切れと体のだるさを感じていることに加え、胃全摘術を受けており、また、血液学的検査で赤血球数の低下(基準値:約400〜500万/µL)、ヘモグロビン(Hb)低値(基準値:約12〜15 g/dL)、ヘマトクリット(Ht)低値(基準値:約40〜45%)、MCV高値(基準値:80〜100 fL)が認められている。これらのことから、本患者は、鉄欠乏性貧血及びビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血を発症していると推察される。よって、本患者に投与された薬剤Aは選択肢2のヒドロキシコバラミン(ビタミンB12)である。
なお、選択肢1:コレカルシフェロール(ビタミンD3)の構造、選択肢3:リボフラビン(ビタミンB2)、選択肢4:チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、選択肢5:ビオチンである。

◆ 問227

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


本患者は鉄欠乏性貧血であると推察される(問226解説参照)。よって、本患者に対して処方されたミネラル成分を含む薬剤Bは、鉄剤である。
鉄剤が処方された場合に服薬指導時に伝えておくべきことを以下に示す。
・服用により便が黒くなることがあるが、心配せず、服用をそのまま続けても問題ないこと
・同時に飲むと吸収が悪くなる薬があるので、併用薬がある場合、薬剤師に相談すること
・副作用として、胃腸障害を起こすこと など