第99回薬剤師国家試験

◆問262-263

64歳男性。大腸がんのため腫瘍摘出手術を受けた。その後、外米にてオキサリプラチン・カペシタビン療法を半年間続けている。

◆ 問262

処方された抗悪性腫瘍薬の作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 微小管を安定化し、細胞分裂を抑制する。
  • DNA鎖に架橋を形成し、DNA複製を阻害する。
  • 血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害し、血管新生を抑制する。
  • 生体内で5−フルオロウラシルに変換され、DNA合成を阻害する。
  • ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害し、プリン生合成系を抑制する。

◆ 問263


◆ 問262

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、4


・オキサリプラチン(白金錯体化合物)の作用機序
DNA鎖内及びDNA鎖間に白金架橋を形成し、DNAの複製及び転写を阻害する。
・カペシタビンの作用機序
5−フルオロウラシル(5−Fu)のプロドラッグであり、生体内で5−Fuに変換後、さらに代謝され5−フルオロデオキシウリジン酸(5−FdUMP)となり、デオキシウリジン酸(dUMP)と拮抗することによりチミジル酸合成酵素(TMP合成酵素)を阻害して、DNA合成を阻害する。


微小管を安定化し、細胞分裂を抑制する薬物は、パクリタキセルやドセタキセルなどである。


血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害し、血管新生を抑制する薬物は、ベマシズマブなどである。


ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害し、プリン生合成系を抑制する薬物は、メトトレキサートなどである。

◆ 問263

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


問題文に「最近、朝の洗顔時、水が手先にぴりっとくることがあります。また、手足の皮膚が硬くなり、ひび割れが起きました。」との訴えがあった。と記載されていることから、この患者の症状の原因として最も可能性が高いのは、カペシタビンによる手足症候群であると考えられる。
手足症候群は、カペシタビン、ソラフェニブ、スニチニブ等を投与することにより起こる副作用であり、その初期症状として手足の感覚異常、角化による皮膚の硬化、ひび割れ、びまん性発赤、色素沈着などを呈する。